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梅原龍三郎は「やっぱり我家が一番いい」

梅原龍三郎は「やっぱり我家が一番いい」

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 「一匹狼」を自認した左利きの洋画家、梅原龍三郎は明治二十一年(一八八八年)、京都の染物問屋に生まれる。中学を中退した後、浅井忠が主宰する聖護院洋画研究所に入る。ここにはのちに「梅原芸術は絹の友禅、安井曽太郎は木綿の肌ざわり」とうたわれることになる、日本洋画壇の双璧と称された安井曽太郎も学んでいた。明治四十一年、パリ留学。オーギュスト・ルノワールの指導を受ける機会を得た。大正二年(一九一三年)帰国、東京神田にて白樺社主催で個展を開催。これをきっかけに、白樺社同人の武者小路実篤、志賀直哉、柳宗悦と親しくなる。春陽会、国画創作協会洋画部を経て、国画会に参加。昭和十年(一九三五年)、帝国美術院会員となる。昭和十九年、東京美術学校(現東京芸術大学)教授となる。文藝春秋の表紙画を昭和十年一月号から六月号、昭和十五年一月号から六月号、昭和二十一年六月号から十二月号の三度にわたって描いた。

 戦後、昭和二十七年、東京芸術大学教授を辞任し、渡欧。ヴェネチア・ビエンナーレの国際審査員を務めた。同年、文化勲章を受章。ヨーロッパで学んだ油彩画に、桃山美術や琳派、南画などの日本の伝統的手法を取り入れ、装飾的な世界を描いて見せた。

 写真は昭和三十六年六月、新宿区市ヶ谷の自宅庭にて撮影された。ちなみにこの自宅は、吉田五十八が設計した。

<私はね、ヨーロッパのホテル生活をだいぶやりましたけど、やっぱり我家が一番いいですよ>(「週刊文春」昭和三十六年六月十二日号より)

 昭和六十一年没。

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