この物語ができたきっかけは、園芸ショップで見つけたストレプトカーパスという花でした。
最近引っ越したばかりの家には小さな庭がついていて、出来心でガーデニングを初めました。知識を集めないと前に進めない性分で、週末になると足繁く近くの園芸ショップに通っています。小さな庭なのでそう多くは植えられません。ショップをぶらつきながら、これを植えたらどうなるだろう、と空想するのが楽しいのです。おかげで、すっかり花に詳しくなりました。以前は桜と桃を間違えるくらいでした。『ハナミズキ』の歌を口ずさみながらハナミズキがどんな花かも知りませんでした。不思議なもので、名前を覚えると、近くの公園の木々や街路樹に目がいくようになります。たくさんの種類の花に囲まれて暮らしていたことに気づきます。今では、どうしてあんなにも無関心でいられたのかが信じられないくらいです。ストレプトカーパスも、そんな趣味の中で私が見つけた花の一つです。どういう花なのかは、物語の途中に出てくるので、ぜひ探してみてください。
物語は、同じ会社で働く4人の女の子たちが主人公のラブストーリーです。いずれも、僕の周りにいるような、あるいは、かつて近くにいたような人たちです。みなさんの傍にも転がっているのに、ふわりと見過ごしているようなお話かもしれません。共感というよりも、そういう気持ちや考え方があったことに気づいていただきたいのです。
名前を知った途端、公園の木々や街路樹に目がいくように。この物語がみなさんにとって、ずっと傍にあったのに気づいていなかったものに気づくきっかけになれば、これ以上の喜びはありません。
最後に、ここまで読んでくださったあなたに感謝を。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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