西 キャットファイトしててほしいねんな、分かる分かる。仕事に、その現場でどれだけの覚悟があってやってるか見とけって思う。
光浦 今、誰々とつるむ、誰々とつるんでないとか、そんなの関係ない。
西 でも、それ性格もあるやろな。光浦さん、ほんまに壁ないし、ナチュラルやん。
光浦 仕事場では駄目だな。評判悪いしカリカリしちゃう。
西 でも、それは仕事やからやろ? 真面目やからじゃない?
光浦 真面目なのかな……。嫌な人が来たら四倍返しぐらいするもんで、すごい印象が悪い。
西 二倍ちゃうんや(笑)。
光浦 反省してるんだけど治らない。小さく見えて自分が損するだけって分かってるのに、なんで四倍返ししちゃうかな。
西 真面目やねんな。私の友だちの作家でそういう子おるよ。陰口を絶対言わなくて、本人にきちんと言うねん。
光浦 ああ、そう。
西 メチャメチャええ子やねん。天使みたいな。でも本人にはっきり言うと角が立つときあるやん。だったらガス抜きでいいから、私たちに悪口や陰口を言ってよ、て思うねんけど、それは正義感があって言わないの。彼女は自分で価値観を決めていくことをすごく徹底してる。私たちには絶対愚痴らないし、絶対誰の悪口も言わず、本人に言うのが彼女の戦い方というか。
光浦 へえ。でもそれでいい作品が出来るんならいいな。
西 そうやな。
光浦 西さんは、人のいいところを見てくれるからいいんだよ。
西 だって、ほんまにええ子やもん!
光浦 でも、西さんは誰に対してもそういう気がするな。悪いところよりもいいところを先に見てくれる。
西 でも、嫌いな人とかおるで。おるおる。
光浦 まあ、そうね。西さんは人のいいところを見てくれるけどみんなに優しいわけでもないっていうのが信用できるのよ。みんなのいいところを見て、みんなのいいところを言ってると、偽善というか、優しい自分に酔ってる感が出てくる人もいる。いいことしか言ってないんだけど、こっちが勝手に被害妄想を抱いてしまう人もおるじゃん。でも、西さんはそうじゃない。ボロクソに言う時はボロクソに言うから安心できる。「あんなのボロクソに言ってやったわ」ってよく聞くし(笑)。
西 嬉しい、ありがとう(笑)。ほんまに嫌なことあっても嫌な人のこと考えても、私はすっごい冷たくて、「そういうやつらはそこに一生おれ、もうずっとそう思っとけ」と思うねん。「あなたには絶対この楽しさ一生分からへんぞ」みたいに。そこを「どうしてそういうこと言うの?」って本気でやり合おうとは思わない。
ネットに悪口書く行為はゆっくりとした自殺
光浦 割り切っちゃう。じゃあ自分に降りかかった冤罪は?
西 嫌な噂流されたり?
光浦 そう。事実無根だった場合。
西 光浦さんはやっぱり有名な人やからな。うちはそういうことないかな。
光浦 いや、西さんもこれから出てくるよ。
西 そうかなぁ。でもそれも、「そう思わんとやっていかれへんのやろな」みたいな感じかな。
光浦 ああ、そうか。そう言っちゃえばいいんだ。それができればいいのか。
西 そうそう。でも、それって優しくないと思う。又吉直樹さんの『火花』の中でも、ネットに悪口書く行為はゆっくりとした自殺やって。だから、それを本気で怒ったらなあかんっていう描写があって、それってものすごく優しい考え方やなと思って。私はもう「知らん。そんなやつ知らん、好きな人とだけおりたい」だけど。
光浦 西さんみたいになりたいな。
西 いやいや。冷たいねん。
光浦 無視するほうが健全だと思う。私は闇に自分から向かっていっても呑まれちゃうもんでね。
西 それは炎に入っていくわけだから、勇気いることよね。
光浦 でも、戦えない。
西 見んかったら?
光浦 私ももう見ないよ。見ないけど言ってるんだろうなっていう被害妄想だね。あと暇だとYahoo!ニュースを見ちゃう。他人が悪く書かれているのを見て、この人ですらこんな風に書かれるっていうことは、私は……っていう被害妄想がパッと出ちゃうわけよ。こんなにいい人の、この人のどこに否定される部分があるの? って。こんな解釈をする人のフィルターを通したら私なんか殺されるなと思って、それで怖くなっちゃうの。自分のはもう一切見れないです。
西 嫌やな、そんなんなぁ!
光浦 でも、考えたんだよ。言葉にするだけだと、私も友達とテレビ見てるとやっぱりひどいこといっぱい言ってる。ご飯食べながら「あれ、この俳優さんちょっと老けたな」とかって。
西 うんうん。だけど、それはありじゃない?
光浦 でも、レベルは一緒といえば一緒じゃん。ネットの人たちは「劣化だ~」とか、書き方がきついけど。
西 書くなよって思わへん? 飲んで「老けたよな、あの人な」とかその場で言っとったらええやん。
光浦 まあね。でも、発想というか根は一緒か? と思って。
西 でも、光浦さんのその真面目さがやっぱりすごい優しいなって思う。そこを分けて考えられへんねんな。陰口言わへんってそこやと思うねん。やってること一緒や、ってなっちゃうから、陰口言わずに本人に言って、刀を抜く感じになるんだよね。うちはやっぱりずるいから、なんぼでも友達同士で言えるもん。嫌なこと聞いてもらって、「あー、すっきりした」で終わるから、別にそれで本人に会ってもどうもならへんもんな。「この人もな、大変なんやな」って思えんねん。そのずるさがない、真面目やねんな。そこがすごいまぶしい。
光浦 へえーっ。
西 とっても美しい人やなと思うよ。不器用やけどな。すごく。
ヘアメイク:島貫香菜子(MARVEE)/撮影・志水隆
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