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リーダーの要諦は「思いやり」と「言行一致」<br />『論語』に学ぶビジネスの極意

リーダーの要諦は「思いやり」と「言行一致」
『論語』に学ぶビジネスの極意

文:佐々木 常夫

『ビジネスマンに贈る 生きる「論語」』 (佐々木常夫 著)


ジャンル : #ノンフィクション

佐々木常夫1944年秋田県生まれ。1969年東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。自閉症の長男、肝臓病の妻の看病、すべての家事と仕事を両立するため、「最短距離」で「最大の成果」をあげる仕事術を究め、マネジメント力を磨く。その間、破綻会社の再生や様々な事業改革を手掛ける。2001年東レ取締役就任、2003年東レ経営研究所社長、2010年同研究所特別顧問。2013年9月より佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表として、講演・執筆活動を精力的に行い、企業研修の講師も務める。『こんなリーダーになりたい 私が学んだ24人の生き方』(文春新書)、『ビッグツリー』『部下を定時に帰す「仕事術」』『そうか、君は課長になったのか。』『働く君に贈る25の言葉』『リーダーという生き方』(以上WAVE出版)、『[図解]人を動かすリーダーの話し方』(PHP研究所)など著書多数。

 また論語の大きな特徴のひとつは「君子は――」に象徴される優れたリーダー論であることである。

 孔子はリーダーに一番大切なことは「仁」即ち「人を思いやる心」であり、そしてもう一つ大事なことは「言行一致」と言う。

 孔子はこの「思いやり」と「言行一致」をリーダーの要諦とした。

 すなわち、リーダーというのは、常に他人に心配りしながら、人間として基本的な正しい考え方を持ち、それとぶれない行動をすることである。

 論語は、リーダーを育成する書物と言ってもよく、その内容は普遍的なものを含んでおり、現代でも極めて実用的である。

 現在は、リーダー不在の時代といわれているが、現在を生きる人に、リーダーの指南書である論語を是非読んでいただきたい。

 しかしリーダーシップとは、権力者や組織のトップにのみ存在するものではない。

 本来、リーダーシップの有無は、地位とは関係のないことで、私たち一人ひとりが、その「持ち場」において発揮するものである。

 どんな立場の人であろうが、リーダーシップは発揮できる。

 そしてどんなところにもリーダーはいるし、誰でもリーダーになれる。

 リーダーシップを発揮できるかどうかは、ひとえにその人が「どう生きるか」にかかっているのである。

 論語はそういうことをわかりやすく語りかけてくれているので、一人でも多くの人たちにそれをつかみとってほしいと願っている。

 論語はこうした「人の生き方」と「リーダーのあり方」の指導書であるとともに、いくつか興味深いテーマにも触れている。

 そのひとつは「学ぶことの楽しさと学び方」である。

「学びて時に之を習う、亦(また)説(よろこ)ばしからずや。朋(とも)遠方より来る有り、亦楽しからずや」

 そしてもうひとつは「何ごとにも謙虚であれ」ということ。

「我れ三人行えば 必ず我が師を得 其の善き者を択(えら)びてこれに従う 其の善からざる者にしてこれを改む」

 そういう意味では、やはり論語は総合的人間学の書物といえる。

『論語』に関する本は店頭に数多く並んでいるが、ビジネスマンがビジネスの視点から論語を解説した本はあまり見かけない。

 私のように定年まで普通のサラリーマンをしてきた人間が、『論語』からどんな影響を受け、論語をどう解釈するかを紹介するのも一興と思い書いてみたものである。

ビジネスマンに贈る 生きる「論語」
佐々木常夫・著

定価:本体1,300円+税 発売日:2014年10月14日

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