本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
フジモトマサル⇔穂村弘 往復質問状

フジモトマサル⇔穂村弘 往復質問状

『にょにょにょっ記』 (穂村弘・フジモトマサル 著)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #小説

『にょにょにょっ記』で長年コンビを組んでいる共著者のおふたりにお互いへの8つの質問を出していただきました。自答篇もあります。

フジモトさんから穂村さんへの質問(穂村弘回答篇)

『にょにょにょっ記』(穂村弘 フジモトマサル 著)文庫になりました

1 喉が渇いて目が覚めた朝。一番に飲みたい飲み物はなんですか?

穂村 夏は甘くない弱めの炭酸水、冬は水です。

2 本はどこで読むのがいちばん心地よいですか?

穂村 旅先の喫茶店かな。

 自宅に理想の読書椅子が欲しいんだけど、快適過ぎると眠ってしまいそう。

3 携帯電話もメールもない時代に戻れるものなら戻りたいですか?

 それとも今の方がいいですか?

穂村 今の方がいいです。

 電話が苦手なので、メールがあった方がいいから。

4 今住んでいる場所にずっと住みたいですか?

 それともいつか、まったく違う土地に引っ越したいと思いますか?

穂村 引っ越してみたいですね。

 子供の頃から引っ越しが多かったので、土地によってけっこうちがうなあという感覚があります。

 そこがどこでもずっと住むと思うと不安になります。

5 どうしてもアイディアが湧かないけれど、締め切りは迫る。

 そういうときにとっておきの方法はありますか?

穂村 気になったことを書き留めてあるメモを見ます。

 あと、編集者にメールして「どうしよう。最近なんかなかった?」と尋ねます。

6 昔はちっとも関心がなかったのに今は好き、というものを3つ教えてください。

穂村 ラーメンとかのメンマ。可能なら増量します。

 猫。異様に可愛く見えます。

 樹。森の中の家に住んでみたい。

7 今の作風とまったく違う活動をしてみたいと思うことはありますか?

穂村 絵本を作っている時に、自分にも絵が描けたら、と思うことはあります。

 絵と言葉に時間差がないと、自然に作風が変わるんじゃないかな。

8 自分が編集者になって自由に本が作れるとしたら、どんな本を作りたいですか?

穂村 楳図かずおさんの絵本。

 岡上淑子さんの新作コラージュ作品集。

 戦前の映画『メトロポリス』のポスター、チラシ、広告集。

 

穂村さんからフジモトさんへの質問(自答篇。回答者はひきつづき穂村弘)

9 鼻歌などで無意識に口ずさむ歌はなんですか。

穂村 昔のCMソングの断片など。

「犬が尾をふるワンダフル」(たぶん何かのお菓子)

「名古屋牛乳飲んでるかい」(名古屋牛乳)

「私は大人なの、いいえわたしは12歳」(不明)

 まちがって覚えている可能性が高いです。

10 集めているものはありますか。

穂村 昔の絵葉書、チラシ、メニュー、招待状、ステッカー、プログラムなどの紙もの。

 ラミーのペンなどの文房具。

 

11 自分が犯す可能性のある犯罪はなんだと思いますか。

穂村 何かをするんじゃなくて、しないタイプの犯罪。

 家族が死んだ時、放置して届け出ないとか。

12 タイムマシンで過去でも未来でも一度だけ行って戻って来られるとしたら、どの時代を選びますか。安全は保障されている前提で。

穂村 迷って決められない。

 でも、未来は絶望するのが怖くて行けないかなあ。

13 コンビニエンスストアでよく買うものはなんですか。

穂村 じゃがビー(本当はじゃがポックルがいいんだけど北海道にしか売ってないので)、おにぎり、たまごサンド、漫画。

 最近、Lチキやファミチキを買うことを覚えました。

14 好きな食べ物、苦手な食べ物を教えて下さい。できればその理由も。

穂村 夏は冷たい麺ばかり食べてしまいます。

 食べられないほど苦手なものはないけど、餅とかおでんの練り物とかニョッキみたいに団子っぽい(?)ものはぴんと来ません。食べても食べても同じ気がして。と云いつつ、麺の形になっていれば好きなのが不思議なんだけど。

15 フジモトさんほど生活の細部にまでストイックな人を見たことがないのですが、どうしてそうなれたのですか。また、だらしない一面や面倒くささに負ける一面や誘惑に負ける一面がもしもあったら、それがどんなところか教えてください。

穂村 僕はその逆だから、例外的にストイックな一面を探すと、まずい青汁を飲み続け、まずい黒ニンニクを食べ続けられることかなあ。正確には、ストイックというより、まずさや繰り返しに鈍感って方が近いけど。

16 宇宙人はいると思いますか。いるとしたら、どんなイメージですか。

穂村 いると思う。

 地球人の中でも人種や文化によって見た目や思考や行動がちがうから、それよりは大きなちがいがあるんじゃないかな。

『にょにょにょっ記』(穂村弘 フジモトマサル 著)文庫になりました

穂村さんからフジモトさんへの質問(フジモトマサル回答篇)

1 鼻歌などで無意識に口ずさむ歌はなんですか。

フジモト そのときどきの流行があります。最近は「俺の作ったピザ」(オリジナル曲)です。

2 集めているものはありますか。

フジモト あまりコレクターの素質がなくて残念なのですが、海難事故にまつわる本はわりと集めてます。

3 自分が犯す可能性のある犯罪はなんだと思いますか。

フジモト 理想としては脱獄をしてみたいですが、その前になにか罪を犯さないと駄目ですね。

4 タイムマシンで過去でも未来でも一度だけ行って戻って来られるとしたら、どの時代を選びますか。安全は保障されている前提で。

フジモト 一度だけ、というところが悩ましい、ピラミッドの建設現場も見たいし、ノルマンディー上陸作戦の戦況も見たいですが、結論としては1913年に行ってロシアバレエ団、ニジンスキーが踊る『春の祭典』を観たいです。

5 コンビニエンスストアでよく買うものはなんですか。

フジモト 宅配便で利用することが一番多いです。

6 好きな食べ物、苦手な食べ物を教えて下さい。できればその理由も。

フジモト 好きな食べ物。はっさくです。柑橘類はだいたいなんでも好きですが、はっさくの派手すぎず、渋みのある味わいがよいです。

 苦手な食べ物。第一印象で苦手と思っても、それは自分の感受性不足かもしれず、短絡的に「苦手」とは結論づけたくないと常々思っています。何度か食べて、苦手から好きに変化したものもありますし。しかし、もんじゃ焼きとは未だ和解が成立していません。

7 フジモトさんほど生活の細部にまでストイックな人を見たことがないのですが、どうしてそうなれたのですか。また、だらしない一面や面倒くささに負ける一面や誘惑に負ける一面がもしもあったら、それがどんなところか教えてください。

 

フジモト 20代のころまでは、限界まで散らかした部屋に住むだらしない人間でした。歳をとるごとに「このままではいけない」と修正を加えてるうち几帳面の度合いが進み、いつのまにかストイックな人、みたいに見られるように。しかしそれもピークをすぎたような気もします。

 最近のだらしないと思う一面は、シャツの裾をズボンから出して着ることが多くなった点です。

8 宇宙人はいると思いますか。いるとしたら、どんなイメージですか。

フジモト ぜひいてほしいと思います。直立二足歩行のトカゲ型なんかがかっこいいと思います。

フジモトさんから穂村さんへの質問(自答篇。フジモトさんの回答です)

9  喉が渇いて目が覚めた朝。一番に飲みたい飲み物はなんですか?

フジモト まろやかキャロット。

10 本はどこで読むのがいちばん心地よいですか?

 

フジモト 砂浜で波の音を聞きながら読むと気持ちがいいです。ページの間に細かい砂がはさまることは避けられませんが。

11 携帯電話もメールもない時代に戻れるものなら戻りたいですか?

 それとも今の方がいいですか?

フジモト もはやそれらなしでは生活ができなくなっていますが、昔のほうがよかった気がします。

12 今住んでいる場所にずっと住みたいですか?

 それともいつか、まったく違う土地に引っ越したいと思いますか?

フジモト いつも「つぎは違う場所に引っ越ししたい」と思っています。約束の地には辿り着いていません。

13 どうしてもアイディアが湧かないけれど、締め切りは迫る。

 そういうときにとっておきの方法はありますか?

フジモト 夜に散歩をして長い時間歩くと、アイディアが湧くことが多いです。

14 昔はちっとも関心がなかったのに今は好き、というものを3つ教えてください。

フジモト キャッチボール。海水浴。ビーフステーキ。

15 今の作風とまったく違う活動をしてみたいと思うことはありますか?

フジモト たまに思いますが、結局は「自分の範囲を若干広げる」ことになるだけで、まったく違う次元に行くことは難しいようです。

16 自分が編集者になって自由に本が作れるとしたら、どんな本を作りたいですか?

フジモト 気になる漫画家さんやイラストレーターさんに声をかけて、手作り感あふれる同人誌を作りたいです。

文春文庫
にょにょにょっ記
穂村弘 フジモトマサル

定価:770円(税込)発売日:2018年07月10日

プレゼント
  • 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/12/17~2024/12/24
    賞品 『リーダーの言葉力』文藝春秋・編 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る