2009.07.20 インタビュー・対談

ダッチワイフを巡る真摯なノンフィクション

聞き手: 「本の話」編集部

『南極1号伝説』 (高月靖 著)

   ある年代から上の層に「南極1号って知っていますか」と聞けば「ははーん」と微妙な反応が返ってくるに違いない。そう、「南極越冬観測隊が一年間極地で暮らすにあたり、持参したダッチワイフの名前」であり、ダッチワイフという言葉から最初に想起される固有名詞といっていいだろう。

   高月靖氏は、そのダッチワイフに代表される「特殊用途愛玩人形」の歴史を、江戸時代から最新の風俗事情まで綿密に取材するとともに、開発者の苦労を丁寧に掘り起こした。タイトルこそ風俗本のようだけれど、中身はきわめて真面目なノンフィクションである。

「僕はメジャーな世界より、ニッチ好きな人に関心があるので、ダッチワイフのコレクターというのはいったいどういう人なんだろうかという興味から入ったんです。他人に話しにくい趣味ですから、最初はすごくオタクな人達の集まりなんだろうと思っていたんですが、会ってみるとごく普通な人ばかりでした。ただ、普通だけれど、心の奥に孤独なところを抱えている人達でもあるところが余計面白いんです」

   ダッチワイフといえば、口と下半身に穴が開いているビニールを膨らました人形を想像するかもしれない。もちろん、そういう安っぽい製品も市販されているが、いまの主流は「ラブドール」と呼ばれる等身大の精巧な人形だ。

   顔の表情も豊かだし、素材には柔らかいシリコンが使われているから、肌触りもかなりリアル。値段は六十万円前後、重さも三十キロ前後するが、オーダーメイドで顔や髪のスタイルから肌や乳首、マニキュアの色まで選べるものもあるから、自分だけのダッチワイフを作ることが出来る。

   日本製ダッチワイフの特徴はなんといっても少女的で愛らしいこと。欧米のものはセクシー、グラマー系が主流だが、日本のファンはリアル過ぎるものは敬遠するらしい。

南極1号伝説
高月 靖・著

定価:620円(税込) 発売日:2009年08月04日

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