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祝・8.11! 人々を癒し、時に脅かす“山”を読む【山の日まとめ】

祝・8.11! 人々を癒し、時に脅かす“山”を読む【山の日まとめ】

文:「本の話」編集部


ジャンル : #小説 ,#エンタメ・ミステリ ,#ノンフィクション ,#随筆・エッセイ

小説編

亡き友・亡き兄の遺志とともに、世界最大の岩壁に挑む

『大岩壁』 (笹本稜平 著)

発売日:
単行本 2016年05月21日

 小説の舞台は、「魔の山」の異名を持つナンガ・パルバット。かつてこの山で友人・倉本を失った主人公の立原祐二が、48歳にしてクライマー人生を締めくくるため、生還したもう1人の仲間とともに再びこの「魔の山」に挑みます。しかも今回選んだのは、世界最大の岩壁と言われるルパール壁側からのルート。そこに、兄の無念を晴らそうとする若者、同じく冬季初登頂を目指すロシアのパーティが参入し――。

 現代山岳小説の第一人者の最新作、ラストまで予断を許さない緊迫の展開をお楽しみください。

■書評(本の話WEB 2016.06.01)
洗練と透明度の到達の先(文:宇田川拓也|ときわ書房本店)


滑落死した青年の追悼集に込められた謎

『遭難者』 (折原一 著)

発売日:
文庫 2014年05月09日

 残雪の北アルプスで滑落死を遂げた笹村雪彦。山を愛した彼のために、仲間たちによって追悼集が編集されます。一方、企画を持ちかけられた母親・時子は、息子が本当に事故死だったのか疑問を抱きはじめます。詳細な記録を収録した追悼集に込められた惨劇の謎とは――?

 1982年に遭難死した実在の人物、柴田享彦のために編まれた追悼集からヒントを得た、折原一「――者」シリーズの1冊。鬼才の手腕が冴える傑作です。

■解説(本の話WEB 2014.05.29)
『遭難者』解説(文:神長幹雄|「山と溪谷」元編集長)


“遭難はなぜ起きたのか?”の問いがあぶり出す人間の本質

『冬山の掟 〈新装版〉』 (新田次郎 著)

発売日:
文庫 2014年01月04日

 数多くの山岳小説を発表した新田次郎の初期短編集。冬山の峻厳さを描く表題作のほか、「地獄への滑降」「遭難者」「遺書」「霧迷い」など、遭難を材にとった迫力溢れる10編が収められています。ちょっとした判断ミスが命に関わる事態を招く“山”を舞台に、人間の本質を鋭く抉り出します。

 収録されているのは、昭和30年に『強力伝』でデビューした著者が昭和32年から46年にかけて発表した作品。初期の勢いが感じられます。

■解説(本の話WEB 2014.02.06)
『冬山の掟』解説(文:角幡唯介|ノンフィクション作家・探検家)


下界で悩みを抱える人々を癒す、奥秩父の大自然

『春を背負って』 (笹本稜平 著)

発売日:
単行本 2011年05月30日
文庫 2014年03月07日

 大学院を卒業して研究職に就いたものの、会社への失望から仕事の意欲をなくした主人公の長嶺亨。ある日突然届いた父親の訃報をきっかけに、奥秩父の山小屋を継ぐことを決意します。そんな亨をサポートするのは、父親の大学の後輩で、ひょんなことからホームレス生活をしていたゴロさん。この山小屋を訪れる人々が抱える人生の傷と再生が描かれます。

 2014年には、松山ケンイチ主演で映画化された本作。脳裏に浮かぶ自然情景を楽しめる原作とともに、映像で物語を味わってみても。

■書評(本の話WEB 2014.07.20)
山好き書店員が読んだ『春を背負って』 若き山小屋の主のたくましき成長物語(文:鈴木正太郎|TSUTAYA香里園店勤務)

■CREAおすすめ映画(CREA WEB 2014.07.04)
原作の奥秩父を映画化で立山に変更 『春を背負って』木村監督の狙いとは?

■インタビュー・対談(本の話WEB 2014.06.13)
笹本稜平×木村大作『春を背負って』が問いかけるもの

■書評(本の話WEB 2011.05.20)
山によって自分を、人間性を取り戻す物語(文:一志治夫|ノンフィクション作家)


清冽にしてせつない珠玉の短編集

『草すべり その他の短篇』 (南木佳士 著)

発売日:
文庫 2011年09月02日

 高校時代、ひそかに憧れていた同級生の女性から手紙が届き、40年ぶりに再会して登った浅間山での1日を描いた表題作のほか、全4編を収録した短編集。泉鏡花賞・芸術選奨文科大臣賞をW受賞した話題作です。

 人生の復路に始めた山歩きだからこそ知る、かけがえのないものとは――過ぎゆく時のいとおしさが稜線を渡る風とともに身の内を吹きぬけます。

■書評(本の話WEB 2008.07.20)
浅間の長い稜線を行く孤独な男女(文:村田喜代子|作家)


未曾有の航空機事故に臨む記者たちの1週間

『クライマーズ・ハイ』 (横山秀夫 著)

発売日:
単行本 2003年08月22日
文庫 2006年06月09日

 1985年8月12日に発生した日航ジャンボ機墜落事故の報道について、架空の地方新聞社「北関東新聞」を舞台に描いた長編。山での取材の困難さ、社内の人間関係や確執、報道のあり方――事故後7日間、記者たちの奮闘する様子が臨場感を持って描かれます。

 テレビドラマ・映画化もされ、「週刊文春ミステリーベスト10 2003年」1位、「本屋大賞」2位を獲得した本作。「上毛新聞」の記者時代にこの事故に遭遇した著者の渾身作です。

■書評(本の話WEB 2003.08.20)
日航ジャンボ機事故への鎮魂の思い(文:吉岡忍|ノンフィクション作家)

【次ページ】ノンフィクション・エッセイ編/実用編

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