2014.12.15 文春写真館

八十六歳で字書三部作を完成させた白川静

文・写真: 「文藝春秋」写真資料部

八十六歳で字書三部作を完成させた白川静

 古代漢字学の大家、白川静は、明治四十三年(一九一〇年)、福井県福井市に生まれる。

 尋常小学校卒業後、大阪で弁護士事務所に住み込み、商業学校の夜間部に通い、漢籍に親しむようになる。漢字研究の道を選び、東洋の理想を求め、その歴史的な実証を志して、立命館大学の夜間部に通う。大学在学中から中学校で教鞭をとり、苦学の末、卒業したときには、三十歳をとうに越えていた。殷時代の甲骨文、周時代の金文など、漢字以前の中国古代の象形文字を一字一字丁寧に筆写し、字義の源を糺していくという根気の要る作業にひたすらまい進した。

 昭和二十九年(一九五四年)、立命館大学文学部教授に就任。当時は、弁当を二個持って研究室に籠もっていたという逸話がある。

 昭和三十七年、京都大学で博士号を取得したときには、五十歳を越えていた。

 八十六歳の時に十三年かけてようやく、「字通」を完成させ、「字統」「字訓」とあわせて字書三部作を完結させた。平成十年(一九九八年)、文化功労者として顕彰され、平成十六年には文化勲章を受章した。

〈僕は誠に晩学で、三十八歳で最初の論文を書いた。周りの人たちより始まりが一回り遅いので、今でも自分の年齢から十二歳引いて考えているんです〉(「文藝春秋」平成十一年三月号「日本の顔」より)

 写真はこのとき自宅にて撮影。本の重さで床が落ちないよう、書庫の下には鉄筋が施されていた。平成十八年没。

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