2010.12.20 書評

不易と流行を追求して二十年、考える手がかりとして
信頼度No.1を誇る「本書の使い方」

文: 「本の話」編集部

『日本の論点2011』 (文藝春秋 編)

「突破口あり」

 一九九三年の創刊から数えて、今年で十九冊目を迎えた『日本の論点』。その「2011年版」のキャッチコピーが、冒頭のフレーズです。 『日本の論点』は、日本が直面する喫緊の諸問題に対して、議論の当事者や第一人者が処方箋を下す論争誌です。

 今回の「2011年版」では、八十七の論点に百十八人の筆者が卓見を披露します。ためしに目次を開いてみれば、こんなテーマが並びます。

「日本の財政は本当に破綻するのか」

「中国の侵犯をどう食い止めるか」

「特捜検察の存在理由とは」

「異常気象の原因は何か」

「葬式ははたして必要か」

 ……いずれも、閉塞する日本社会が抱える懸案ばかりです。そこには甲論乙駁の議論もあります。これらの難題の解決なしには、明日の日本に光明は射してきません。

 本書の執筆陣は、豊富な知見を背景に、卓越した見取り図を示してくれます。まさに「突破口あり」です。

 その上で、本書の冒頭にある、「本書の使い方」を読んで下さい。

〈変化がめまぐるしく、そして加速がつく時代においては、現代人の価値観は日々ゆらぎ、新しい論点や論争は、生まれてはまたたく間に消えていきます。しかしそれらは時代を映す鏡の役割を果たしています。

 いっぽう、出口の見えないまま、十数年続く論争があります。長く続く理由は、それらが日本および日本人を考えるうえで、避けては通れないテーマだからです。本書が「不易」を軸に、「流行」の論文もできるだけ収録したゆえんです〉

 そうです。『日本の論点』の特徴は、毎年の(今年ならば2011年の)テーマを扱うと同時に、普遍的な議論を、時代に即した切り口で問いかけ続けていることです。
 「憲法改正は必要か」「天皇の存在理由とは」といった定番だけでなく、「家族の役割とは」の議論もそうです。

 二〇一〇年七月には、「百十一歳」の都内最高齢者が、じつは三十年以上前に死亡していた事件が発覚し、いわゆる「消えた高齢者」問題が全国的に露見しました。『日本の論点2011』では、この切り口から改めて家族の役割を問い直したのです。

 このように『日本の論点』は、「流行」に流されるだけでなく、「不易」を確実に押さえることで、二十年にも及ぶ長きにわたって読者の信頼を獲得してきました。

日本の論点2011
文藝春秋・編

定価:2980円(税込) 発売日:2010年11月25日

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