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イタリアの男と日本の男、ここが違う!?

イタリアの男と日本の男、ここが違う!?

「本の話」編集部

『イタリア的恋愛のススメ シモネッタのデカメロン』 (田丸公美子 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #随筆・エッセイ

田丸 日本人は、平安の昔からくどくのも和歌だったくらい書くのが好き。そのDNAが生きてるから、若い人も話すための携帯をメールの道具にしちゃってる。日本人は口にした言葉のほうに言質(げんち)をとられるという責任の重さを感じるのかもね。イタリアと商売してる知人は、最近日本人秘書ともイタリア語で話すことにしたみたい。二人きりのオフィスで「今日の君は綺麗だね」なんて日本語でいうとセクハラになるけど、イタリア語だとすらすら自然に言える。聞いた方も軽く流せるから、重苦しかった人間関係がスムースになったって。日本語は上下関係に厳しくて、名前で呼び合わないからなかなか親しくなれないのよね。

米原 尊敬語と謙譲語もあるしね。

田丸 挨拶で、「若輩者の私が先輩各位をさしおいて僭越にも……」なんて言われても、先輩、後輩という概念すらないイタリア語には訳せない。

米原 時間があればなるべく忠実に訳してたなあ。日本の文化って面白いなって思ってもらいたいから。ただ、実際はヨーロッパの方が階級社会よね、日本よりも。

田丸 すごい階級社会。トイレもみんな分けてるし、絶対付き合わない。

――くどく時は階級は関係ないんですか。

米原 単に寝る場合は関係ないんでしょうけど、結婚するとなると拘(こだわ)るみたいね。

田丸 結婚は全然別よね。でも、昔は知性があって肩書のある人が好きだったけれど、年とった今は若さにひかれるわね。パーでもいいから(笑)。男も同じだろうなと。

米原 それは田丸自身の話ね。毎日ストレスがあって、根詰めて仕事する人は、相手がパーなほうがいいんじゃない。

田丸 だよね。万里は知性を求めないんだ。

米原 全然求めない。理想は樵(きこり)タイプ。

田丸 手頃なのがいないから、イヌ、ネコに走る。

――人のオスはね、みんな米原さんより知性は低いから。

米原 そんなことないけど。いないのよ、手近に樵タイプが。遠くにいるのは面倒だし。

田丸 それがいけないのね、あとさき考えずに走らなきゃだめね。

米原 本の中で、電車に乗ってて寝たくなる男がいるかどうか品定めする女の話があるじゃない。

田丸 私、考えたこともなかった。

米原 えっ、嘘! 私、いつも考えちゃうわよ。ABCにランク付けして、絶対寝てみたい、寝てもいい、絶対に寝たくないって、三種類に分ける。絶対寝たくないCが九九%強かな。でも田丸は男に甘いからAが二〇%ぐらいでしょ。

田丸 私は男という生き物を愛してるのよ。だから寝る、寝ないとは別に、誰にでもいいところを見つけてあげて存在をそのまま受け入れる。あなたは存在も許さないでしょ(笑)。

米原 そんなことない。寝ないだけであって、別にCでもいいじゃない、面白ければ。

田丸 下半身限定のABC。じゃあ話術とか優しさとか、ほかの付加価値で売っている人は生きていてもいいのね(笑)。

米原 当たり前よ。私の場合、ABCランク付け機能は自動的に働くの。もう考えもしないうちに勝手にカテゴライズしてるのよ。

田丸 私たちが知ってる人でAは誰?

米原 ゾルゲとゲバラ。

【次ページ】田丸はエロス体験の吸取紙?

イタリア的恋愛のススメ シモネッタのデカメロン
田丸公美子・著

定価:本体552円+税 発売日:2008年02月08日

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