2015.06.24 書評

私が『民王』を書いたわけ

文: 池井戸 潤 (作家)

『民王』 (池井戸潤 著)

 内閣総理大臣の誤読が報じられるたび、どうしてそんなことが起きるのか不思議でなりませんでした。2009年当時のことです。1億2000万人も国民がいるのに、なんでそのリーダーが漢字を読み間違えるのか――。

 ところがあるとき、私は唐突に、その理由がわかってしまったのです。いまでもよく覚えています。当時仕事場のあった渋谷某所の歩道橋を渡っていたとき、それは天啓のように閃いたのでした。

 そうか、総理はきっと、どこかのバカ息子と脳波が入れ替わってしまったんだ――。

 総理大臣がそんなことになっても、さすがに国防上の問題があって公にすることはできません。国際的な信用にも関わります。私も黙っていようと思いましたが、その後政権も交代し、もはや沈黙する意味はなくなりました。

 そこで、小説という形で、事の真相を皆さんにお知らせしようと思い立って書いたのが、この『民王』です。

 バカげていると思われるかもしれませんが、ここに書かれていることは“おそらく”すべて真実です。

 いっておきますが、私にはとくに政治信条もなければ、当時の内閣総理大臣に対しても、好きとか嫌いとかいう感情もありません。

 ただひとりの冷静で客観的な物書きとして、当時誰も気づかなかった真実を世の皆さんに知らしめるために、この小説を書いています。どうか、くだらないとかバカバカしいとか、いわないで頂きたい。そんなことは、書いている本人が一番よくわかっています。

 その上で、まずはご一読頂きますよう、筆者からお願い申し上げます。

(この雑文に書かれていることは、すべてフィクションであり実在の人物とはなんら関係がありません。ちなみに、作者の脳波も正常であります。)

民王
池井戸潤・著

定価:本体620円+税 発売日:2013年06月07日

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