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朝比奈隆は“偉大なるアマチュア”だった

朝比奈隆は“偉大なるアマチュア”だった

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 朝比奈隆はヘルベルト・フォン・カラヤンとおなじ明治四十一年(一九〇八年)生まれ。

 旧制東京高等学校を経て、京都大学に入学。音楽部でエマヌエル・メッテルと出会い、薫陶を受けた。戦争中はハルビンで交響楽団を指揮し、終戦を迎える。

 昭和二十二年(一九四七年)戦後の混乱の中、関西交響楽団を立ち上げ、のちに大阪フィルハーモニー交響楽団を率いて五十四年間もの長きにわたって指揮棒を振り続けた。それまで日本ではあまり演奏されることのなかったブルックナーを積極的に取り上げ注目される。交響曲第八番を指揮した昭和四十九年の東京公演は、カーテンコールが鳴り止まない伝説のステージとなった。

 京大卒という指揮者として異色の経歴を持つ朝比奈は、「偉大なるアマチュア」と言われながらも絶大なる人気を誇った。

〈「私は音楽学校卒業でないでしょう。音楽界のなかでは孤立しているように感じることもありました。でも、音楽家に必要なのは音楽だけでない。指揮者になるにはいろいろなことが必要になってきます。日本の音楽家は音楽家としか付き合わないからだめなのです」〉(中丸美繪著『オーケストラ、それは我なり』文藝春秋刊より)

 写真は平成十一年(一九九九年)撮影。平成十三年没。

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