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別荘でくつろぐ石川達三

別荘でくつろぐ石川達三

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 石川達三は明治三十八年(一九〇五年)生まれ。昭和五年(一九三〇年)、移民の監督官としてブラジルに渡る。このときの体験をもとにした「蒼氓」で昭和十年、第一回の芥川賞を受賞する。

 菊池寛は「話の屑籠」で、

〈この頃の新進作家の題材が、結局自分自身の生活から得たやうな千篇一律のものであるに反し、一団の無智な移住民を描いて、しかもそこに時代の影響を見せ、手法も堅実で、相当の力作であると思ふ〉と、この作品を強く支持した。戦後も、『人間の壁』『金環蝕』など社会派と呼ばれる小説を書いた。

 趣味はゴルフ。文壇でもうまさはとびぬけていて、夏は軽井沢の別荘に滞在して、プレーを楽しんだ。別荘でくつろぐ写真は、昭和四十二年夏に撮影。

〈散歩道をつくって、ふろのたきぎをとったり、花をつんだりしています。鳥はうぐいす、かっこう、ほととぎす、かけす、あとはいろんな鳥がいるけど名前がわからないな。りす、きじなんかもいますよ。この家は気に入ったオルゴールの形に似せてあるんです〉(「週刊文春」昭和四十二年八月二十一日号グラビア「別荘拝見」より)

 昭和六十年(一九八五年)没。

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