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杉山寧は「文藝春秋」の表紙を最も数多く描いた

杉山寧は「文藝春秋」の表紙を最も数多く描いた

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

「文藝春秋」の表紙は歴代日本を代表する画家が描いてきた。鏑木清方、安井曽太郎、梅原龍三郎、藤田嗣治、橋本関雪、竹内栖鳳、川合玉堂、川端龍 子・・・・・・。なかでも杉山寧は「文藝春秋」の表紙を昭和三十一年(一九五六年)四月号から昭和六十一年十二月号まで、計三百六十九作品を描いた。歴代 第一位の数字である。

 明治四十二年(一九〇九年)生まれ。実家は東京浅草の文房具店。東京美術学校に入学、山本丘人、高山辰雄らとともに日本画の革新をめざした。

 安井のあとを受けて表紙画を描き始めた時の気持ちをこうつづっている。

〈とにかく安井先生が立派な仕事をつづけられたあとなので、どうしてもそれに拘泥るような気持があつて、やりにくい思いをした。しかし、私は私の 持つているものでやつていくほかないのだから、どういう風に描こうということは、その時その場で考えながら、何とかやつていきたいと思つている〉(「文藝 春秋」昭和三十一年四月号表紙解説より)

 写真はこのとき撮影されたもの。ちなみに三島由紀夫は女婿である。

 平成五年(一九九三年)没。

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