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病気と闘いながら最晩年まで、<br />精力的に作品を発表し続けた丸谷才一

病気と闘いながら最晩年まで、
精力的に作品を発表し続けた丸谷才一

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 小説家、文芸評論家、翻訳家として多大な功績を残した丸谷才一は、大正十四年(一九二五年)山形県鶴岡市生まれ。旧制鶴岡中学、旧制新潟高校を経て、昭和二十二年(一九四七年)、東京大学文学部英文科に入学。ジェイムズ・ジョイスから大きな影響を受ける。

 大学院進学後は、桐朋学園で教師として小澤征爾や高橋悠治に英語を教えた。

 篠田一士、菅野昭正、川村二郎らと同人誌「秩序」を創刊、またグレアム・グリーンの翻訳を始める。昭和三十五年、最初の長編小説『エホバの顔を避けて』を上梓。

 昭和四十三年、『年の残り』で芥川賞を受賞する。長い時間をかけて歴史的仮名遣いで長編小説を発表し、谷崎潤一郎賞、読売文学賞、野間文芸賞、川端康成文学賞、芸術選奨、大佛次郎賞、菊池寛賞、泉鏡花文学賞、朝日賞など数多くの受賞の栄冠に輝いた。平成四年(一九九二年)、毎日新聞が書評面の大刷新を行った際、顧問としてユニークな紙面づくりに貢献した。評論家としては日本文学史における和歌の伝統を深く考察し、またジェイムズ・ジョイスの研究でも、第一人者として知られる。

 平成二十三年には文化勲章を受章。写真は、「丸谷才一さんの文化勲章受章をお祝いする会」にて撮影されたもの。この年、八十六歳にして長編小説『持ち重りする薔薇の花』、評論集『樹液そして果実』を刊行している。晴朗として声大きく、病気と闘いながら最晩年まで、精力的に作品を発表し続けた。平成二十四年没。

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