本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
今日は僕が一番ちゃんとせなと思ってました。又吉直樹さん テレビ局の囲み取材全文<br />

今日は僕が一番ちゃんとせなと思ってました。又吉直樹さん テレビ局の囲み取材全文


ジャンル : #小説

僕が明るい人間やったら「ふ~!」て言うてるんでしょう

──芥川賞作家と呼ばれることになりましたがプレッシャーとか喜びみたいな言葉は?

又吉 喜びはむちゃくちゃありますよ。もし僕が明るい人間やったら「ふ~!」て言うてるんでしょうけど、こんな感じで生きてきたのでなかなかそうはなりませんが、本当にうれしいですね。

──少し目が赤いように見受けられますが前の日に寝不足とかうれしくて泣いたとか?

又吉 さっきお祝いの乾杯でシャンパンを。口つける程度のはずが緊張しすぎて2杯くらいいってもうて。

──他の受賞者の2人と比べると一番テレビに慣れているはずの又吉さんが一番緊張していたように見えたのですがどんな気持ちで壇上に上がったのでしょう。

又吉 僕が普段出てるテレビと違いますし、ちゃんとできへんから芸人になったんですけど、今日は僕が一番ちゃんとせなと思ってました。

──ご家族や相方の綾部さんにはどんな言葉を伝えてどんな言葉が返ってきましたか?

又吉 母親には「受賞したよ、ありがとう」とメールを送ったんですがまだ返信がない状態で。父親はもう寝てると思うんで明日連絡しようかなと思ってます。綾部はこないだ財布を落としまして、ちょっと金を貸してくれと言われて2万貸したんですが、その後すぐに財布にお金が入った状態で返ってきました。でも綾部から「あの2万返さんでええよね」みたいな感じのメールは来ました。

──それに対して返信は?

又吉 まだしてないんですけど、ちゃんと返してもらおうと思ってます。

 

──賞金100万円ですね。

又吉 ほんまですね。

──何に使いますか?

又吉 どうしましょうかね。せっかくのありがたいお金なので貯金するよりは使った方がええと思うんで、今まで食べたことのないごはんでも食べましょうかね。行ったことのない国の料理とか。

──綾部さんと?

又吉 後輩2人、パンサーの向井とジューシーズの児玉と住んでるんで、この2人になるんですかね。

──綾部さんは?

又吉 綾部は好き嫌いが激しいので食うたことのないものを食おうと思わないからちょっと……。

──山田詠美さんから「『火花』は人生体験の元手がかかっている」という評価がありました。どんなふうに思いますか?

又吉 僕は文章書くときに今回の『火花』はもちろん、自分が知ってる感情や風景を書くので、それをそういうふうに言っていただけるのはすごくうれしいです。

──先ほど選考委員の方とご挨拶したときに厳しい言葉を言われたと言っていましたが、どんな言葉を?

又吉 僕にとって励みになるような言葉です。次回作で声をかけてくださった先生の評価を覆すようなものを書いてほしいと言ってくださったので頑張ります。

──今年で芥川賞は80年。その長い歴史の一番新しい場所にご自分がいるということに対してはどう思いますか?

又吉 芥川賞って毎年注目してて、中学の頃から僕と同じ名前の又吉栄喜さんが受賞されたときも作品を読んだり、その他中村文則さん、町田康さん、村上龍さんなど僕が好きな作家さんが受賞されています。そこに自分が候補にしていただけただけで本当に驚いていたんですが、実際に受賞までできてまだ実感ないなあという感じですね。

【次ページ】小説を書くことは漫才やコントをやることと同じ

火花
又吉直樹・著

文藝春秋 定価:本体1,200円+税 発売日:2015年03月11日

詳しい内容はこちら

文學界2015年2月号

定価:970円(本体898円) 発売日:2015年01月07日

目次はこちら

プレゼント
  • 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/3/29~2024/4/5
    賞品 『もう明日が待っている』鈴木おさむ・著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る