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『銀翼のイカロス』期間限定無料公開【第3弾】

半沢直樹が帰ってきた! 出向先から銀行に復帰した半沢直樹は、破綻寸前の巨大航空会社を担当することに。半沢の前に立ちふさがる大臣と銀行上層部。

「私の認識不足だったようだが、産業中央銀行はこういうハシゴ外しが得意技だったんだな」

 どっかりと肘掛け椅子に体を沈めた曾根崎は、開口一番、嫌味をいった。

 合併行においてあけすけな相手行の中傷は御法度だが、どうやら曾根崎にはそんなデリカシーはなさそうだ。

 元々が押しの強さと荒っぽさを売りにしてきた男で、深謀遠慮の参謀タイプというより、ブルドーザーで突進するような武闘派である。無論、この担当替えに相当な不満と屈辱を感じているのは表情でわかる。

「これはハシゴ外しとは違うと思うがね。見るに見かねての担当替えだろう。部下は優秀なはずなんだがね」

 半沢に話をふられ、田島は恐縮して頬を引き締めた。

「優秀な部下ねえ。こいつらがか。冗談じゃない」

 曾根崎の口調は刺々しい。「部下がやるべきことをやっていれば、帝国航空は審査部で取り仕切れたはずなんだがな。もう少し責任を感じてくれてもいいんじゃないか」

 目を伏せた田島に代わり、

「部下のせいにするのは旧Tの得意技か」

 半沢は嫌味で返した。「君は実務の責任者だろう。だったら、全て自分の責任です、ぐらいのことはいったらどうだ」

「なにっ」

 いまにもツッパリでも繰り出しそうな目で曾根崎が睨んだが、半沢は知らん顔で、本題に入っていく。

「さっき部長から簡単な経緯については聞いた。同社が作成する新たな再建計画をフォローしろとのことだが――」

「まず、同社が履行不可能に陥っている現在の再建案について説明させてください」

銀翼のイカロス池井戸 潤

定価:本体760円+税発売日:2017年09月05日