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『銀翼のイカロス』期間限定無料公開【第3弾】

半沢直樹が帰ってきた! 出向先から銀行に復帰した半沢直樹は、破綻寸前の巨大航空会社を担当することに。半沢の前に立ちふさがる大臣と銀行上層部。

 その指摘は、この事案が持ち合わせた難しさの一面を端的に言い表しているような気がした。半沢の経験からいうと、最後には銀行がなんとかしてくれると思い込んでいる経営者ほどタチの悪いものはない。

「先日帝国航空が発表した業績見通しによると、前期に引き続き五百億円ほどの赤字を計上することになっています。リストラしようにも従業員組合が猛烈に反対してまして。高すぎる企業年金の減額についても、OBが反発して進んでいません」

 田島の説明は、帝国航空が直面している様々な難題にまで及んだ。

 赤字路線撤退に対する政治家や国土交通省からの圧力。会社と激しく敵対する労働組合。機材の老朽化。世界的に見ても飛び抜けて高い着陸料や航空機燃料税などの公租公課――。そのどれもが一筋縄ではいかないものばかりだ。

「どういうことかわかるかよ、半沢」

 曾根崎が横から口を挟んだ。「役員たちは、オレたち審査部がぐうたらだからこうなったと思っているらしいが、実際はそうじゃない。あんな会社は、誰がやっても同じなんだよ。もちろん、お前がやってもだ」

 そういって太い人差し指を半沢に突きつけた。「帝国航空をお前に担当させろというのは、頭取の意向なんだってな。結構なことだ。だけどいい気になるなよ。オレたちにできないことを、企業再建の経験がないお前にできるわけがない。お前はきっと引き受けたことを後悔することになる」

「まあ、そうならないよう、せいぜいがんばるさ」

 半沢はいうと、曾根崎のことなど気にするふうもなく田島にいった。「帝国航空にアポを入れてくれないか。挨拶に伺いたい」

銀翼のイカロス池井戸 潤

定価:本体760円+税発売日:2017年09月05日