2018.01.16 書評

はじめに

文: みうら じゅん

『されど人生エロエロ』(みうらじゅん 著)

『されど人生エロエロ』(みうらじゅん 著)

 ラブとセックスはよく特集が組まれるほどの人気者。でも、ふだんはあまり仲が良くなく、楽屋も別々だったりする。

 ラブはピースとコンビを組むこともあるが、セックスは一度もない。どちらかというと、ピースよりウォーとの相性がいいらしく、いつも誰かと競ってる。

 ラブはそんなセックスに「数じゃないの、肝心なのはハートなの」と、諭してきたけど、一向に聞く耳を持たないセックス。このままじゃ近い将来、コンビ解消ってことにもなり兼ねない。ラブは悩んだ挙句、今は少し距離を置いて、ソロ活動を始めることにした。

「セックスさんがおられないと途端に上品な客層になりましたねぇ。いや、何もこれはセックスさんを批難してるわけじゃないですよ」

 イベンターはそう言って喜んだが、ラブはやはりステージに物足りなさを感じていた。

 かたや、セックスは前にも増して過激な発言や行動が目立つようになり、「何でもやればいいってもんじゃないわ、本当、下品ね」と人気は降下した。

「バッキャロー! オレがいなくちゃ何も始まらねぇーんだよ」

「それは良くわかってますけど、ここらでラブ姉さんに一度、詫びを入れられたらどうでしょう?」

「こ・・・・・・このオレ様におまえは説教するつもりか!」

 弟子を引き連れ飲んだくれの日々。しかし、金の切れ目が何とやら、健康も害したセックスに近寄る者は誰一人いなくなった。

 そんな噂を聞きつけたラブ。今がチャンスともう一度、新たな気持ちでコンビを組まないかと打診した。

「おまえが望むならオレは構わんけど」

 そのエラソーな態度に変りはなかったけど、その夜ラブはセックスを迎え入れた。

「愛してる!」、「言うた尻からどこツッ込んでんねん!」

 会場は再びラブとセックスの絶妙な絡みに大満足。

「やっぱこの上品と下品のコンビは最高ですな」と、評論家筋にも大受けだった。

 ・・・・・・なんてね。

 人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた──。


こちらもおすすめ
インタビュー・対談バカ田大学卒業生・みうらじゅん×久住昌之が語る、赤塚不二夫さん(前編)(2016.07.14)
インタビュー・対談バカ田大学卒業生、みうらじゅん・久住昌之が語る「赤塚不二夫」とは何者か(後編)(2016.07.15)
インタビュー・対談「ない仕事」を作るには。画期的ビジネス書(?)の登場(前編)(2015.11.25)
インタビュー・対談「ない仕事」を作るには。画期的ビジネス書(?)の登場(後編)(2015.11.26)
特集江戸時代から平成まで――日本人の“性”の解釈・表現を楽しもう【エロスまとめ】(2016.12.28)
されど人生エロエロみうらじゅん

定価:本体740円+税発売日:2018年01月04日