阿部智里「八咫烏シリーズ」

祝200万部突破&アニメ化
阿部智里『望月の烏』インタビュー

阿部智里さん
撮影:深野未季

――新刊『望月の烏』ではデビュー作の『単』以来の〈登殿の儀〉が描かれます。

阿部 今回のお后候補たちは基本的にいい子ばかりなので面白みに欠けるのではないかと心配でしたし、やっていることが『』と『』を一冊にまとめる、みたいなものなので苦労もありました。ただ、最初からシリーズを読んでいただいている皆さまにとっては、長い時間をかけて登場人物たちとここまで来たというか――世代が変って同じ儀式を書いたことで、過去作品の総決算的なものになったかもしれません。初めて出てくるキャラクターも、なぜかそう思えないと編集さんに言われたのですが、全員がこれまで読んできた人物たちの縁者にあたるからでしょうね。山内の女性のトップに立つ〈大紫の御前〉が彼女だということも、作者自身しみじみ懐かしい気持ちになっています(笑)。

――2024年4月からいよいよアニメ「烏は主を選ばない」もスタートです。

阿部 映像のプロがどのような解釈で八咫烏の世界観を作られるのか楽しみですね。まだ映像は観ていないのですが、一度、アフレコの現場にはお伺いして、音の世界の職人芸には本当に驚きました。声優の方たちの演技も音響監督のこだわりも、一切の妥協を許さないもので本当に作者冥利につきます。

今回は『主』のコミック第5巻も同時発売されましたが、こちらも小説という文字の世界から、松崎夏未さんによって素晴らしい漫画にして頂いたものです。名司生さんの装画も含め、優れたクリエイターの方がそれぞれの八咫烏の世界を送り出されているのを、存分に楽しんでもらえれば幸いです。

――小説の今後の展開については?

阿部 ゴールも決まっていますし、ここから先は本当にラストスパートです。皆さんをお待たせすることなく、一気に駆け抜けたい……(編集の目がキラリと光ったのを見て)とは、思っていますが、どうなるかは分かりません! とにかく精一杯がんばりますので、引き続きよろしくお願いいたします!

(2024年1月インタビュー)