作品紹介

北関東のとある地方都市の一角、観音さまが見下ろす街、紅雲町で、コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む気丈なおばあさん、杉浦草。人々を温かく見守り続ける彼女は、無料のコーヒーを目当てに訪れる常連たちとの会話がきっかけで、街で起きた小さな事件の存在に気づいていく人気シリーズ第三弾。今回は、お草さんが、コーヒーを仕入れるミトモ珈琲商会が、紅雲町のある街に出店を計画。ミトモでは、二代目の若手女性社長・令が紅雲町をリサーチしていた。珈琲豆の仕入れに不安を感じたお草さんは、懇意であるミトモ初代社長に相談へ行くが、社長になった娘の令と、彼女をサポートする井(い)との対応で、逆に三友から相談されてしまう(「長月、ひと雨ごとに」)。紅雲町の青果店に持ち上がった産地偽装問題を記事にしようと、意欲に燃えている新聞記者の萩尾。だが、事件の背景には、意外な事情があった。萩尾の元の雇い主で、お草さんのコーヒーの師匠であるレストラン「ポンヌフアン」であるバクサンこと寺田博三は、正義感が先行し、ややあぶなかったしい萩尾を心配して、青果店と同じ町に住むお草にお目付け役を依頼する(「霜月の虹」)。お草は、この事件を通して、草の友人である由紀乃のいとこのかつての夫で、萩尾の民俗学の師匠である勅使河原先生と、その娘の美容師・ミナホとも関わることになる。草から見る、萩尾とミナホの関係は、どこかギクシャクとした不思議な関係だった。そんななか、勅使河原先生に論文盗用の疑惑が持ちあがる。そして、論文盗用疑惑をきっかけに、三人の止まっていた時が動き出そうとしていた……。「萩を揺らす雨」でブレイクした著者が、お草さんと彼女をとりまく街の人々の生活を通して、四季を描きつつ、お草さんならではの機転と、ささやかな気配り、そして豊富な人生経験から、小さなトラブルを解決していく滋味あふれる短編連作小説集。

書評・インタビュー

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担当編集者より
『萩を揺らす雨』でブレイクした、珈琲豆と食器を商うおばあさん、お草さんが街の事件を解決する「お草さん」シリーズの第3弾『名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ』がいよいよ刊行。お草さんに珈琲豆を卸す会社が代替わりという騒動の過程で知り合った、民俗学の研究をする勅使河原先生と美容師であるその娘ミナホにまつわる過去が今回の主なストーリーとなります。お草さんならではの方法で、彼らの気持ちと止まった時間をときほぐしていきます。今回もコーヒーのような大人の味わいをぜひ、お楽しみください。(IY)
商品情報
書名(カナ) ナモナキハナノ コウウンチョウコーヒーヤコヨミ
ページ数 288ページ
判型・造本・装丁 四六判 小口折 並製カバー装
初版奥付日 2012年12月15日
ISBN 978-4-16-381860-3
Cコード 0093

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