2014.07.16 インタビューほか

北村 薫×桜庭一樹×宮部みゆき ビブリオバトル「直木賞受賞作、私のこの“1冊”」

第150回記念芥川賞&直木賞FESTIVAL

北村 薫×桜庭一樹×宮部みゆき ビブリオバトル「直木賞受賞作、私のこの“1冊”」

――これより、第150回記念芥川賞&直木賞フェスティバル、「直木賞受賞作、私のこの“1冊”」――ビブリオバトルを始めさせていただきます。
 まず、出演者の方々のご紹介をさせていただきます。最初に北村薫先生、あえて先生と申し上げますが、北村先生は、覆面作家としてデビューされ、長らく正体不明でしたが(笑)、その頃はまさしく高校の先生でした。2009年、第141回直木賞を『鷺と雪』で受賞。本格ミステリを中心とした創作だけでなく、評論、アンソロジーなど多彩な執筆活動を展開されています。さらに、現在は早稲田大学で教鞭を執ってもおられます。
 次に、桜庭一樹さんです。桜庭さんは第60回日本推理作家協会賞を『赤朽葉家の伝説』で受賞、その翌々年の2007年、第138回直木賞を『私の男』で受賞されました。本作は、本年6月に映画公開されます注・その後、モスクワ国際映画祭グランプリ作品賞受賞。現在大ヒット公開中
 最後に、宮部みゆきさん。現代物、ミステリー、時代小説、幅広い作風はみなさんもよくご存じのことと思います。1998年、第120回直木賞を『理由』で受賞されました。現在は、直木賞の選考委員として選考に携わっていただいております。
 このゲームのコンセプトは、発案された谷口忠太さんいわく、「人を通して本を知る、本を通して人を知る」。その意味で、さしずめ本日の企画は、「直木賞作家を通して直木賞受賞作を知る、直木賞受賞作を通して直木賞作家を知る」といえると思います。

※観客参加型イベント《ビブリオバトル》のルール
 壇上のお三方にこれまでの直木賞受賞作からオススメの1作、「私のこの“1冊”」を紹介し ていただきます。お1人1冊のプレゼンテーションの時間はきっちり5分間です。その後、客席の方も交えて若干の質疑応答をしたうえで、どの作品が一番読みたくなったか、挙手による投票を――お三方にもご自分が推薦された以外の本に――お願いします。その投票結果をもって、栄えある「チャンプ本」を決定する というものです。

北村薫先生のオススメ本は…

 一番手は北村薫先生です。タイマーの準備も整いました。緊張の一瞬……スタート!

北村 私がオススメするのは、昭和10年の直木賞第1回受賞作、川口松太郎の「鶴八鶴次郎」です。鶴八鶴次郎って何、漫才みたいだと言われるかもしれませんが、あながち外れてもいないんですね。鶴八という女性と鶴次郎という男性、2人の芸人コンビの物語です。一言でいうと、こんな話になります。 (※ここでおもむろに音楽が流れる。曲は千昌夫の「星影のワルツ」)「♪別れ~るこ~と~はつらいけ~ど~、仕方が~ないんだ、君のた~め~」。

 物語にはいろいろパターンというのがございます。たとえば、悲恋ということでは、『ロミオとジュリエット』ですとか。その意味では、「星影のワルツ」のサビの一節こそが、「鶴八鶴次郎」のパターンだと、私は思います。

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