これだ! 今、こういう本を読みたかったんだ!<後編>
「本の話」編集部
『武士道ジェネレーション』刊行記念 書店員座談会
青春を剣道にかける女子、あの『武士道』シリーズの「強さは力」剛の香織と「お気楽不動心」柔の早苗が帰ってきました! 高校卒業から6年、それぞれ道を歩き出した2人を待ち受けるのは――。最新作の刊行を記念して、3名の書店員の方に、このシリーズの魅力について熱く語っていただきました。
流行なくずっと読み継がれる物語
内田 また、セリフがすごくいいですよね。検索したら、「誉田哲也 武士道シリーズ 名言」とかなんか検索ワードで出てくるぐらい。フレーズに惚れる人が多いんだなと思いました。
勝間 そうですよね。
内田 フレーズに惚れるっていうのが、言葉の力というんですかね。それも読んでいて思いました。「あ、かっこいい」っていうところがね。読んでいると必ずチェックするんです。ポップで使いやすいフレーズみたいな。
勝間 ありますね。

内田 ワンフレーズボーンと入れると、ポップからバッと攻めてくるものがあるので。
勝間 思い出した。『シックスティーン』の帯、「ンメアァァーッ」って書いてました、書いてました(笑)。
内田 それ、殺し文句だな。
白井 斬新でしたね。
内田 なんか僕個人的な意見で、誰も死なずに、気持ち良くなれるし、今一番読みたい本ってこういう本なんだっていうのが、『ジェネレーション』を読ませてもらって一番の感想です。「これだ、こういう本を読みたかったんだ、今」って。世間がすごく嫌な事件で騒がしくて、子どもを虐待したりとか、新幹線で焼身自殺したりとか、本当におかしなことがある中でも、やっぱりこういうところに救いがあるし、読みたい本、勧めたい本なんですよね。
白井 そうですね。こういう本は流行とかなくずっと読まれていくんでしょうね。しかも一冊勧めれば四冊買ってもらえる。
内田 シリーズとしてどうぞ、っていう感じで。
勝間 セット販売も出るかもしれないですね。
白井 ああ、いいですね。
勝間 箱入り。
内田 『ジェネレーション』は取りあえず単行本だから、既刊の文庫三冊をじゃあ、これだけ箱にする?

勝間 で、特別付録しない?
内田 いいね。
勝間 あ、般若の?
白井 般若の(笑)
勝間 世代を越えてずっと変わらず、勧めたいですね。
白井 剣道をやってない人にも勧めたいですよね。もしも敬遠しているなら。
勝間 でも、これ中学生ぐらいの子が読んだら、絶対高校の時に剣道部に入ったりしますよ。
白井 剣道の見方も変わりますよね。
内田 絶対そう。この面白みっていうかな、勝敗の面白さと、その背景にすごく影響されると思います。
(二〇一五年七月七日 文藝春秋にて)