本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
8月文春文庫 「目利き編集者N」が推す「シスターフッドどまんなか」の痛快サスペンス

8月文春文庫 「目利き編集者N」が推す「シスターフッドどまんなか」の痛快サスペンス

文:文春文庫部

担当編集者のイチオシ本 特別編


ジャンル : #歴史・時代小説

<とにかく女がかっこいい! 米英仏のミステリー界が推す新鋭の長編登場>

『わたしたちに手を出すな』ウィリアム・ボイル

『わたしたちに手を出すな』(ウィリアム・ボイル)

「これこれ、こういうのが読みたかった!」――女性キャラが大暴れするクライム・サスペンス『ババヤガの夜』で第74回日本推理作家協会賞の候補となった王谷晶さんにそう叫ばせた本書『わたしたちに手を出すな』は、米英仏などのミステリ・シーンが期待の新鋭として推すウィリアム・ボイルの本邦初紹介作品です。

主人公は女性三人。言い寄ってきた近所の老人を殴り倒し、「殺してしまった……」とパニックに陥って娘の家へ逃げる未亡人リナ60歳。そしてリナの娘の娘、つまり孫娘のルシア15歳。そしてその隣家に住むウルフスタイン、若い頃に60本以上の作品に出演したアラフィフの元セクシー女優。トラブルを抱えて娘に頼ろうとしたリナでしたが、そこへ襲来したのは巨大なハンマーを振りまわす殺し屋! なんと娘の愛人がマフィアの取引場所を襲撃、大金を奪って逃走したというのです。かくしてリナは孫娘を連れ、タフな隣人ウルフスタインの助けを借りて命がけの逃走を開始します。

王谷さんが解説に記した「とにかく女がかっこいいのだ」という言葉がすべてを物語っています。彼女たちは追手から逃げるだけでなく反撃もする。ハンマーを持つ殺し屋だけでなく、彼女たちにはそれぞれの人生にまつわる問題も抱えていて、それにも挑んでゆきます。すごい武器を持っているわけでもない女たちの共闘は、「まさにシスターフッドどまんなか」(王谷さん解説より)。そんな戦いの果てに待つのは、奇縁に結ばれた彼女たちが「ひとつの家族」として囲むテーブルです。ユーモアを漂わせつつ、最後にはあたたかな感動が待つ痛快なサスペンス。自信をもっておすすめします。
 

この他話題の本やフェア情報、文庫解説が読める文春文庫のサイトはこちら

文春文庫
わたしたちに手を出すな
ウィリアム・ボイル 鈴木美朋

定価:1,155円(税込)発売日:2021年08月03日

プレゼント
  • 『グローバルサウスの逆襲』池上彰・佐藤優 著

    ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。

    応募期間 2024/4/19~2024/4/26
    賞品 新書『グローバルサウスの逆襲』池上彰・佐藤優 著 5名様

    ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。

ページの先頭へ戻る