作品
『陰の季節』(第五回松本清張賞受賞)で、鮮烈なデビューを飾った著者の第二作。警察手帳紛失事件に隠された男達の矜持を描く
新宿、新大久保、新潟そして茨城を点と線で結ぶ怨念と復讐の物語。「彼女」は三代にわたる怨念を晴らすために生まれた「化身」なのか……。
逍遙の死と妻を巡る異説。紅葉=鏡花師弟の確執。密かに一葉を想う緑雨の孤高。明治文壇の強烈な個性の栄光と悲惨を描く連作小説
昭和八年、「月辰会研究所」から出てきた女官が自殺した。特高係長は謎を追うが——。満洲と日本を舞台に描いた未完の大作千七百枚
黒頭巾の男が人を斬るのを目撃した芳年は、あの男の殺気を描きたいとの一念にとりつかれる。狂気の浮世絵師・月岡芳年の若き日々
松本清張が愛した「コーヒー」店、向田ドラマの神髄「夕べの残りのカレー」、“火宅の人”檀一雄の「ダン・シチュー」の秘密――他
日本が大きく変貌した高度成長期と松本清張。この両者の出会いで花開いたのが「社会派」と称される新たなジャンルのミステリーだった
警察一家の要、人事を担当する二渡は、天下り先ポストに固執するOBの説得にあたるが……。警察小説の新たな地平を拓く話題作
小さなフランス・レストランにさりげなく飾られた少女像は三十年前に日本で盗まれた世界的画家の作品だった……。表題作ほか二篇
官途に精励し軍医総監まで昇りつめた鴎外。飽くなき創作意欲で文豪の名を恣にする鴎外。敬愛しつづけた明治の文豪の二つの像を独自の視座から照射する著者最後の評伝。(桶谷秀昭)
唐の都・長安。夜に輝く牡丹を生みだした利発な少年黄良が、狡猾な宦官相手に知略をめぐらす狂騒曲の果ては? 玄妙あふれる短篇集
昭和八年、「月辰会研究所」から出てきた女官が自殺した。特高係長は謎を追うが――。満洲と日本を舞台に描いた未完の大作千七百枚
(上を参照)
罪を犯し、人別帳から除外された無宿者。自由を渇望する男達の逃亡と復讐を鮮やかに描いた連作時代短篇。「町の島帰り」「海嘯」「おのれの顔」「逃亡」「左の腕」他五篇収録。(中島誠)
老西園寺公の晩景を描く表題作、不遇の少年時代を回想する「泥炭地」等、晩年の短篇を精選。巻末に年譜・著作目録。解説・秋山駿
作家の生活と創作の秘密を公開しつつ“日記体の文学”へと昇華させた表題作ほか、晩年の内面を窺わせる随筆を精選。解説・佐原真
軍医総監と文豪。鴎外の二つの像を独自の視座から描いて遺作となった表題作に、「暗い血の旋舞」「形影」を併録。解説・沼野充義
国際駅伝に賭ける男と復讐を誓う女が交錯する「詩城の旅びと」。エイズが蔓延する近未来を描いた「赤い氷河期」。解説・菅野昭正
再起を期する男が高圧線下野の長い土地に着目する「数の風景」。集まるカラスが“完全犯罪”を暴く「黒い空」。 解説・小笠原賢二
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