作品
収容所はまさに地獄。軍律の崩壊した集団のなかで、飢餓と暴力に耐えた僕の青春。弱肉強食の熾烈な人間模様をえがく直木賞受賞作
昭和十年の創設以来、この最も権威ある文学賞に編集者として関わり、戦後は作家として選考委員をつとめた筆者が、その折おりの出来事をエピソードも豊富に記す“日本文学史の証言”。
美しくあることとビジネスは両立するか。親愛感と怨念が複雑にからむフィリピンで商社マンが直面する現実を鋭く衝く直木賞受賞作
放浪の老画家のつれ歩いている子供を預かった山里の小学校教師が、“異物”の乱入で生活をかき乱されるいきさつを描いた直木賞受賞作に、「親もどき〈小説・きだみのる〉」を収録。
芥川賞の選考委員退任を機に第一回からの関係者である著者の、当事者のみが知りえた秘話を交えて愛惜こめて描く両賞の波乱の歴史
新宿のバーに集まり去ってゆく男女の哀歓を映す連作。直木賞受賞作の「雨やどり」のほか、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」「新宿の男」「かえり唄」など絶品七篇。(長部日出雄)
辺境であった東国にひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵、それはまたたくまに関東の野をおおい、鎌倉幕府が成立した。武士たちの情熱と野望を激しく描く直木賞受賞作。(進藤純孝)
直木賞受賞作「暗殺の年輪」をはじめ、北斎晩年の暗澹たる心象をえがく処女作「溟い海」、加えて「ただ一撃」「黒い繩」「囮」を収める。藤沢調といわれた記念碑的作品集。(駒田信二)
無銘の古刀に偽銘を切り高値な刀剣に見せかける鏨師と、それを見破る鑑定家の闘いを描く直木賞受賞作など初期短篇集。「鏨師」「神楽師」「つんぼ」「狂言師」「狂言宗家」収録。(伊東昌輝)
動乱の世に目もくれず、佳人の面影を託した自作の玉器を探し求める工芸師の執念を描く直木賞受賞作の表題作の他「年輪のない木」「太湖帰田石」「小指を追う」「カーブルへの道」収録。(足立巻一)
無道徳だが、爽快な奔放さと埋められぬ空しさとをもつ少年少女を生き生きと捉えた直木賞受賞作「聖少女」のほか、「背後の影」「汚れた天使」など四篇を収録。(荻久保泰幸)
一年余の闘病ののち妻は死んだ。残された二人の子を長良川に近い故郷にあずけ、一人で東京生活を送る男の胸によみがえる捕虜生活の屈辱の記憶。直木賞受賞作。(小木曾新)
首斬り浅右衛門と異名をとった幕府の試刀役山田家は二百五十年続いたが、その重荷を背負った天才少年吉亮は家の崩壊に直面する。幕末史に新境地を拓いた直木賞受賞作。(西尾幹二)
一人は腕を切断されて軍籍を去り、一人は切断されずに栄光の道を歩むという人生の明暗を描いた直木賞受賞作「光と影」のほか、「宣告」「猿の抵抗」「薔薇連想」を収録。(小松伸六)
他人を笑わせ、他人に笑われ、そのために死ぬほど絵草紙作者になりたいと願っている若旦那のありようを洒落のめした直木賞受賞作に加え、「江戸の夕立ち」を収録。(百目鬼恭三郎)
近来まれに見るサスペンスドラマと評された直木賞受賞作ほか「赤い広場の女」「バルカンの星の下に」「弔いのバラード」「天使の墓場」など、渾身の短篇五篇。(佃実夫)
藩上層部の権力争いの陰で微禄の平侍を翻弄する苛酷な宿命。端正な文体と緻密な構成で本格時代小説の新境地を示す。直木賞受賞作
同じ傷を負いながら病院でのカルテの順序がもとで成功者と敗残者に分かれた二人。些事がもたらした人生の明暗を描く直木賞受賞作
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