みなさんは、「手」の持つ力をご存知ですか? そして毎日のスキンケアに「手」を使いこなしていらっしゃるでしょうか?
“ゴッドハンド”という言葉があるように、手はエステティシャンにとって特別な美容ツールですが、一般の方にとっても、「手は世界にひとつだけの最強の美容ツール」です。「手」には、何とも言えない温かさと柔らかさがあり、手のひらや指は顔のカーブに驚くほどフィットするものなのです。そして肌を傷つけることなく、技術がなくても適度に圧力をかけることで顔の凝りをほぐすことができます。手を上手に使えば、マッサージばかりでなく、クレンジングなどの日頃のスキンケアでも、自分自身の手で肌に大きな効果をあげることができるのです。
私がこの「手美容」のメソッドを作り上げるまでには、長い道のりがありました。
東京・麻布十番の地に江原道麻布サロンがオープンしたのは1987年。姉である女優・早乙女愛が、夫婦で化粧品ブランド「江原道(Koh Gen Do)」を創業したのがはじまりです。
当時中学生だった私は、姉の化粧品で遊ぶのが大好きで、姉が口紅ひとつで美しい女優に変身する姿にいつも見とれていたものでした。そんな姉の姿を見るにつれ、自分もいつか女性を美しくする仕事に就きたい、と思うようになったのです。
時代は1980年代。華やかな時代でしたが、当時の女優たちが使う撮影用の化粧品は肌に負担をかけるものがとても多く出回っていました。香料が入ったドーランをしっかり塗り、それをコールドクリームで何度も落とす……。そんな肌に負担をかける生活で、ひどい肌荒れに悩んだ姉が、香料や石油系の添加物が入っていない、肌にやさしい優秀なコスメをつくりたい、そう考えて江原道ブランドを創設したのです。試作品があがっては自分の肌で試し、メイクさんに試してもらっては感想を聞き、より良い改良品をつくる……。小さいながらも、姉の化粧品に対する真剣さ、健やかな肌へのこだわりに、深い感動を覚えたものでした。