私に期待されるお話はなんだろう、と考えました。
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を読んで楽しんでくれた人達が私に期待する新作は、どんなものであろうと。
「ラブストーリー」
であり、
「秘密」
があって、
「それが明らかになったとき、はっと印象が変わる筋書きのもの」
ではないだろうか。
だから『天使は奇跡を希う』も、そういうお話です。
舞台は、愛媛県にある今治市。今治タオルで有名な町です。
主人公は、地元の高校に通う少年。
そしてヒロインは、彼のクラスに転校してきた、天使。
そう。背中から白い翼を伸ばす、まぎれもない天使です。
でも、その正体に気づいているのは主人公だけで──。
そんなふうに始まるお話です。
ヒロインには秘密があって、それが明らかになったとき、たぶんとても甘くせつなくなります。
そういうお話です。
「別冊文藝春秋 電子版5号」より連載開始