- 2012.03.14
- 書評
楽天に就職する方法
文:三木谷 浩史 (楽天株式会社代表取締役会長兼社長)
『グーグル、アップル、マイクロ ソフトに就職する方法』 (ゲイル・L・マクダウェル 著・村井章子 訳)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
世界的なIT企業というと、この本の題名にあるようにグーグルやアップル、マイクロソフトといった名前が挙がります。これらの企業は、エンジニアたちが革新的な技術で業界の形態を創造的に変えてきました。楽天株式会社もEコマース事業では巨大なウェブ上のショッピングモールを築き上げ、そのシステムを支える技術力を高めてきました。楽天は、こうした技術の上に日本ならではの「おもてなしの心」をそなえている点が大きな強みです。
「ジャンボジェットの機内には何個のピンポン球が入りますか?」という面接での質問が本書には紹介されています。エンジニアに関しては、楽天でもそういうテストを行なっています。
ある課題を与えて、こういうプログラムを組むにはどういうコーディングをすればいいか、その場で書かせたりする。そうすると、その人がちゃんと数学的な思考を持っているかどうか、すぐに見極めがつくのです。
しかし、単に技術的に秀でているというだけでは不十分です。ビジネス部門であっても、ビジネススキルだけでは足りません。
わたしたちの理念は、よりよいテクノロジーを使って、いろいろな人々を巻き込み、世の中を力づけること(エンパワー)です。
「エンパワーメント」は楽天のモットーの1つで、そのために技術とサービス、テクノロジーと人間性の両輪が必要になるのです。
理系のエンジニアであっても、「おもてなしの心」――サービスを理解しようとする姿勢が求められます。文系の営業マンでも「技術はわからないんです」というようなことでは通用しない。無論、この両立は簡単なものではありません。
採用にあたっては、新卒採用も中途採用も、困難にめげそうになったときにどう対処したかを見るようにしています。音をあげそうなときに何とか工夫して成し遂げたり、誰かの力を借りて達成したりといった経験があるかどうか。そういう点を、いろいろエピソードを聞くことで見ていきます。
技術とサービスを1人の人間が両立させるのは難しいですが、それを達成するために、「何かをやりとげた経験」が重要になってくるのです。世の中を何としても良くしたいんだという強い気持ち、コミットメント。それです。これは社会的な使命と重なってもきます。
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