2013.05.31 書評

元中国大使が見つめた
尖閣、バブル、そして日本

文: 丹羽 宇一郎

『北京烈日 中国で考えた国家ビジョン2050』 (丹羽宇一郎 著)

 尖閣に始まり尖閣に終わった――。

 中国大使としての2年半弱の滞在は、まさしく「秋霜烈日」の日々でした。私自身なんとか政財界の先人たちが営々と築いてきた日中の絆を建て直そうという強い思いで赴任しましたが、逆に日中関係は悪化の道を辿りました。その最大のターニングポイントは昨年9月の野田佳彦総理と胡錦濤国家主席との首脳会談でした。10数分といわれるこの立ち話が日中関係を決定的に悪くしてしまったのです。

 もちろん尖閣諸島が日本の領土である点について一切譲歩する余地はありません。しかし、まさに日中が角突き合わすこの島にどんな価値があるのでしょうか。冷静に考えれば、漁業基地としても資源的な面からもそれほど重要な島でないことは容易に判断できることです。こういうことを言うと石礫(つぶて)が飛んでくることは百も承知していますが、私なりに日本の来し方行く末を案じての発言ですから、批判の矢面に立つ覚悟はできています。

 同時に、北京から日本を眺めていると、つくづくこの日本という同胞社会の島国は国際感覚がないなあ、国際社会から理解が得られない行動ばかりだ、とそう思えてしまうのです。

 日本の国益を第一に考え日中間の経済関係を考えれば、領土問題についても一刻を争う問題ではなく「お休み」といった選択肢も見えてくるはずです。

 日本が中国の隣国から引っ越しできない以上、中国の政治家たち、共産党の有り様、国家体制、中国人の習性やものの考え方の本質に迫るべきです。そこを踏まえた上で、習近平・中国とどう付き合うか。私なりにその方法を皆さんにお示ししたいと思います。

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北京烈日

丹羽宇一郎・著

定価:1365円(税込) 発売日:2013年05月25日

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