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キャスターの黒木奈々さんが9月19日に胃がんのため亡くなりました。享年32。病状を克明に記したメモをもとに『未来のことは未来の私にまかせよう』を執筆し、復帰を果たした矢先の出来事でした。黒木さんに伴走し続けた編集者が、追悼の言葉をよせます。
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彼女に初めて会ったのは、胃の全摘手術から約1カ月の昨年10月31日だった。その第一印象は「本当に闘病中なのかな?」だった。テレビのままの姿がそこにはあった。
「私は言葉を使って人に伝える仕事をしています。今回は文字で私の経験を伝えたいんです」。自分ががんと宣告されてから、毎日書いていたという「日記」を彼女は持ってきていた。
それから1年経たずに彼女の葬儀に参列することになるとは。
葬儀場の祭壇に向かう通路と中庭には、大きなパネルが何枚も置かれていた。どれもとびきりの笑顔だ。『未来のことは未来の私にまかせよう』の表紙と、『原色美人キャスター大図鑑』の取材・インタビューで撮影したものだ。
「いつも動画で撮られているから、止まった写真は慣れてないんです。でも今日は知っているスタッフばかりで安心」。この撮影時の写真がまさか“遺影”になるなんて。
「お腹にこんな傷があって、ガンも再発するかもしれないし、こんな私を好きになってくれる人がいるのかな」。『国際報道2015』でのクールな美人のイメージがあるが、普段の彼女は、素直で本当にいい子だった。
葬儀場は、参列者の涙で溢れていた。あんなにも泣き声が聞こえる葬儀は初めてだった。
ご両親に「可愛い写真ばかりでより哀しいんです」、単行本については「奈々が生きた証を残してくれてありがとうございます」と挨拶していただいた。その姿が辛かった。
「未来のことは未来の自分にまかせて、今を精一杯生きて下さい」。彼女が残したこの言葉を心に刻んでおきたいと思う。
バイバイ奈々ちゃん。君の大好きな、ワインと牛肉を、一度は一緒に食べたかった。
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