2015.12.06 書評

電子書籍の現在を追う!

文: 「週刊文春」編集部

『充電完了。 電子書籍の明日はどっちだ……』 (永江朗 著)

電子書籍と紙の本との共存を模索する永江さん。たとえば旅先で読む本がなくなったとき、全巻そろえるのが大変なシリーズものを読むときなど、電子書籍は有効と説く。また文字のフォントを自由に変えられる電子書籍は「お年寄りにこそ便利」とも。 文春e-Books 販売価格400円(電子書店により異なる場合があります)

 2013年9月から約2年にわたり小誌で連載されていた『永江朗の充電完了。』。隆盛著しい電子書籍まわりについて、毎回ホットな話題を提供し、業界関係者の注目度も高かった。

「当初は毎週ネタがあるのか、その点が心配でしたし、編集部からも心配されていました(笑)。でも始めてみると、週1回の連載ではフォローしきれないくらい、様々なニュースが流れてくる。まだまだ電子書籍は黎明期にあるのだと、つくづく考えさせられました」

 電子化されたばかりの新刊の紹介のみならず、海外サイトから配信される電子書籍への消費税問題に至るまで幅広く取り上げた。用いるデバイスを場面によって替えたりと、永江さん自身も電子とのつき合い方を模索していたことがわかる。

「私は決して電子礼賛者というわけではありません。紙の書籍への愛着は強いですから、その中で、紙を補ってくれる使い道があるのなら、電子に学ぶところがあるというスタンスでした」

 そんな激動の連載が、ひとつの書籍としてまとまった。発売中の『充電完了。』がそれだが、この書籍、電子書籍オリジナルでの刊行となっている。永江さんの著作としても、電子のみの販売は初めての試みだ。

ながえあきら/1958年北海道生まれ。法政大学卒業後、西武百貨店系洋書店「アール・ヴィヴァン」に勤務。雑誌『宝島』『別冊宝島』などの編集を経て、フリーライターとして活躍。2008~13年、早稲田大学教授(任期付)。近著に『そうだ、京都に住もう。』など。

「発売日にリアルな空間にものがないというのは不思議な感覚です。これまで出版社が行う販促プロモーションというのは、サイン会やPOPを作るといったことでしたが、書店に売られてないのではそれもできない。有効なのはTwitterやFacebookなどのSNSでの宣伝でしょうか。いずれにせよ、作家にとって書くだけで責任が終わる時代ではなくなったのだと身をもって痛感しています。私もSNSを始めなくてはと、7割方はその気になっているんですが……なかなか実行できずにいますね(笑)」

 連載終了から4カ月。今なお電子書籍をめぐる環境は変化し続けている。永江さんは電子書籍の未来をどう見ているのか?

「たとえば電子辞書やカーナビが衰退したように、今はあらゆるものがスマホで代用されるようになってきている。同じように、出版界もスマホにひれふすことになってしまうのかという点は注視して見ていきたいと思っています。

 また、出版業は東京の地場産業と言われるくらい、一極集中が激しい。その背景には主に流通の問題があるのですが、電子ならば地方でも始められるという点は紙よりも自由で、可能性を感じますね」