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江戸は神田の袋物屋、三島屋。ある事件で心に傷を負い、引き籠もるように生きていた主人の姪・おちかは、奇縁が重なり、客人たちが持ち込む怪談話に耳を澄ます役を担うことに――。「三島屋変調百物語」、待望の続編が刊行された。
「おちかには人々から怪談を聞く切実な理由があるんですが、回を重ね経験も重ねて、いろいろな人とのつながりもできていく中で、成長してきました。聞き手としてもだいぶ熟練してきたので、どんな話が来ても驚かずに受け止めてくれるだろうと思ったんです。ですから今回は、若い娘が恋バナをしに来るわ、人殺しが来るわ、怪獣は出るわ……。これまで以上に、やりたい放題やらせていただいた感じです(笑)」
来客の語りを柔らかく促し冷静に受け止める、おちかの「聞く力」がパワーアップすることで、怪異の幻想性を高めることに成功。と同時に本巻では、語り手の「動機」に注目することで、百物語の可能性を広げることにも成功している。
「例えば『泣き童子』というお話の老人は、体の具合がとても悪くなっているのに、這うようにしておちかの元へ語りに来ました。それはなぜなのか? 聞く側ではなく、語る側に注目することで、お話にバリエーションを付けることができたのかなと思います」
そもそも人は、なぜ語るのか。怪談を聞き、あえて恐怖を味わうのはなぜか。
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「人間は誰でも、大きな恐怖や悲しみに遭う可能性があります。そんなものとはぶつからない人生が理想なんですが、ぶつかった時に乗り越えられる力を持っている方が、もしかしたら人間としては幸せなのかもしれない。この百物語は、怖い話を面白がろうという気持ちで読んで下さるのが一番です。そのうえで、災害や災難、身近な人の死に対して、こういう考え方もあるのか、こういう見方もできるのかと思って下さったなら、望外の喜びですね」
これにて十七話が語られた。「百話語ると何かが起こってしまうらしいので(笑)、九十九話を目指します」。まだまだ先は長い。
「このシリーズなら、江戸物では普通取り入れられないような、SF的な題材のものも取り扱えると思います。どこかの段階で、聞き手を変えてみるという展開もありうるのかもしれない。このシリーズで試してみたいことがいくつもありますので、年齢と競争しながら(笑)、しっかり書き続けていきたいと思います」
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