お知らせ
- 2021.07.16
- 作者あとがき「梅の木の前で迷う女、雪が降りだす師走の夜――そこから物語が動き出す」が公開されました
- 2021.07.07
- 7月7日に『一夜の夢 照降町四季(四)』の単行本、文庫、電子書籍が同時発売されます
- 2021.04.05
- 【2021 佐伯泰英 刊行プロジェクトニュース】4月6日電子書籍版 123タイトル一挙配信開始!
- 2021.04.05
- 特設サイトを公開しました
書籍紹介
派閥争いで命を落とした周五郎の兄。旧藩・豊前小倉藩の危機に苦悩する周五郎は、照降町を去らなくてはならないのか。大火から九ケ月、新設された中村座で佳乃をモデルにした芝居の幕が開く。大入り満席の中には、意外な人の姿があった。勇気と感動の全四巻ついに完結!
7月7日単行本・電子書籍同時発売
(内容は同一です)
梅の神木を炎から守り抜いた佳乃と周五郎を中心に、復興にむけ動き出す照降町。花魁・梅花から「新しい下駄」の制作を託された佳乃は、大火で命を落とした人々の鎮魂のための催しを思いつき、吉原の会所と旦那衆、職人に協力を願う。7月15日、照降町に奇跡の光景が広がった――感動に包まれる人波の中、周五郎に不吉な知らせが。
人々の勇気と知恵、復興を描く第三巻!
6月8日単行本・電子書籍同時発売
(内容は同一です)
文政12年3月、神田佐久間町の材木置き場の奥で、消し忘れた小さな火がくすぶり始めていた――ついに「己丑の大火」が江戸を襲う。
鼻緒挿げの女職人・佳乃と、その弟子の武家・周五郎は、すべてを焼き尽くそうとする火から、照降町を守るべく奮闘する。ご神木の梅の木が燃えようとしたその時、佳乃の決死の行動が、あきらめかけた町人たちを奮い立たせる!
日本橋を焼失した大火事のめくるめく光景、町人の心意気が奇跡を呼ぶ、緊迫の第二巻。
5月7日文庫・電子書籍発売
5月10日単行本発売
(内容は同一です)
おもな登場人物
- 佳乃
- 照降町「鼻緒屋」の娘。三年前、恋人の三郎次と駆け落ちし町を飛び出した。
- 弥兵衛
- 佳乃の父。鼻緒や下駄を扱う「鼻緒屋」二代目。腕の良い職人。
- 八重
- 佳乃の母。
- 八頭司周五郎
- もと豊前小倉藩士の浪人。二年ほど前から「鼻緒屋」で鼻緒挿げの修業をしている。
- 八頭司裕太郎(ゆうたろう)
- 周五郎の兄。豊前小倉藩士として小笠原家に仕えている。
- 宮田屋源左衛門
- 下り傘・履物問屋「宮田屋」の主。暖簾わけした「鼻緒屋」の後ろ盾。
- 松蔵
- 「宮田屋」の大番頭。佳乃の腕を見込んでいる。
- 若狭屋喜兵衛
- 下り雪駄問屋「若狭屋」の主。「宮田屋」と並ぶ老舗の大店。
- 幸次郎
- 箱崎町の船宿・中洲屋の船頭。佳乃の幼なじみ。
- 大塚南峰
- 小船町で診療所を開く医者。長崎で蘭方医学を学んだ。
- 準造
- 「玄冶店の親分」と慕われる十手持ち。南町奉行所の定町廻同心に仕える。
- 三郎次
- 佳乃と駆け落ちした、札付きのワル。神奈川宿の賭場に借金がある。
- 薮之内中之丞・宇佐正右衛門
- 周五郎の武家時代の朋輩。
- 四郎兵衛(しろべえ)
- 吉原会所の頭取。吉原の奉行ともいうべき存在。
- 梅花
- 吉原の大籬「雁木楼」の花魁。当代一の権勢を誇る。
- 小笠原忠固(おがさわらただかた)
- 豊前小倉藩六代藩主。
「照降町四季」刊行によせて
つねづね私の時代小説は「髷をつけた現代小説」と考えている。「照降町四季」はコロナ禍に見舞われた現代と重なりあった物語だ。ただし深刻にならないように読後感が爽やかであるように念じて主人公の佳乃の登場から最後まで描写してきた。作者はまず「照降町」と住人がよぶ里名に惹かれた。日本橋をのぞむ直ぐ傍らにあって、北には魚河岸、南には二丁町と呼ばれる官許の芝居小屋があった。一日千両を稼ぐ二つの町をむすぶ小粋な両側町になにがおこったか。お楽しみあれ。