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『羊と鋼の森』

宮下奈都

 
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1967年1月2日生まれ、福井県福井市出身。89年上智大学文学部哲学科卒業。2004年、3人目の子供を妊娠中の36歳の時に初めて書いた小説「静かな雨」で第98回文學界新人賞佳作に入選、デビュー。
〈作品〉『スコーレNo.4』2007年光文社刊。『遠くの声に耳を澄ませて』09年新潮社刊。『よろこびの歌』09年実業之日本社刊=第26回坪田譲治文学賞候補。『太陽のパスタ、豆のスープ』10年集英社刊。『田舎の紳士服店のモデルの妻』10年文藝春秋刊。『メロディ・フェア』11年ポプラ社刊。『誰かが足りない』11年双葉社刊=12年第9回本屋大賞7位。『窓の向こうのガーシュウィン』12年集英社刊=第28回坪田譲治文学賞候補。『つむじダブル』(小路幸也氏との共著)12年ポプラ社刊。『終わらない歌』12年実業之日本社刊。『はじめからその話をすればよかった』(エッセイ集)13年実業之日本社刊。『ふたつのしるし』14年幻冬舎刊。『たった、それだけ』14年双葉社刊。『神さまたちの遊ぶ庭』(エッセイ集)15年光文社刊。

このたび、『羊と鋼の森』が文庫になりました。

本屋大賞という、ほんとうにうれしい賞をいただいて、思いがけずたくさんの方に読んでいただけた物語ですが、こうして小さく、手に取りやすくなって、もっとたくさんの方のもとへ届くといいなと夢見ています。

文芸誌に連載中から挿画を手掛けてくださった牧野千穂さんが、文庫用に新たに装画を描き下ろしてくださって、単行本の時より少し明るく、初々しささえ感じる装丁に生まれ変わりました。

また、佐藤多佳子さんが、深い愛のある素晴らしい解説を書いてくださいました。

6月には映画の公開も控えており、「あの場面をどんなふうに映像化したのだろう」「この音をどう表現するのだろう」と、楽しみにしていただけたらと思います。

頭の中に広がっていた森、耳の中だけで鳴っていた音が、スクリーンの中に実在することに、きっと驚いていただけると思っています。

そして、実は、映画から漏れてしまった小さな場面を文庫の中に見つけるのも、私のひそかな楽しみになりました。これからも、ささやかな場面を積み重ねて、力強いほどの、たしかな物語を書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

あらすじ

ゆるされている。世界と調和している。
それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。
「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

推薦コメント

なんて美しい小説なんだろう。僕が今まで読んだどの小説よりも美しかった。 (広島県・廣文館本部・江藤宏樹さん)

ここに読書の喜びがある。読書でこんなに幸せになれるとは思わなかった。
この幸せを一人でも多くの人に感じてもらいたい。 (千葉県・浅野書店・大宮和子さん)

静かで、美しくて、どこか荘厳で。
正直なところ、私の中での直木賞はこの作品でした。
折に触れて、何度でも読み返したい大切な一冊です。 (東京都・文教堂書店代々木上原駅店・富田結衣子さん)

自分の本当にやりたかったことは何か、原点を鮮やかに思い出させてくれる作品だ。 さあ、恐れるな、世界を恐れるなと背を撫でてくれる一冊。
(富山県・文苑堂書店福田本店・野坂美帆さん)

一生をかけたいもの、目標としたいひと、尊敬する先輩、叶えたい夢。
私にも、ある。頷きながら、森を歩んだ。
仕事をこれからする人にも、何かに行き詰っている人にも、手に取ってほしい。 (京都・ジュンク堂書店池袋本店・福岡沙織さん)

書籍カバー

待望の文庫化! 2018年6月8日映画公開

『羊と鋼の森』宮下奈都

定価:650円+税
判型:文庫判