阿部和重・著『オーガ(ニ)ズム』
- 2023.02.07
- 2月7日に文庫『オーガ(ニ)ズム 上』、『オーガ(ニ)ズム 下』が発売されます
- 2020.01.09
- 壮大な3部作『神町サーガ』の完結編──物語の主人公は「阿部和重」が公開されました
- 2019.10.08
- 「『Orga(ni)sm』キーワードをめぐるよもやま話」が公開されました
- 2019.10.08
- 「明晰な虚構の語り、文学だけが持ちうる倫理【作品論】<阿部和重『Orga(ni)sm』を体験せよ>」が公開されました
- 2019.10.07
- 「占領、偽史、ユダヤ──『Orga(ni)sm』読解の糸口として【作品論】<阿部和重『Orga(ni)sm』を体験せよ>」が公開されました
- 2019.10.04
- 「『Orga(ni)sm』キーワードをめぐるよもやま話」が公開されました
- 2019.10.02
- 「純粋物語」の誘惑【作品論】<阿部和重『Orga(ni)sm』を体験せよ>が公開されました
- 2019.09.24
- 現在発売中の「小説トリッパー」秋号に池上冬樹氏の評論「〈神町〉トリロジーを読む」が掲載されています<外部サイト>
- 2019.09.24
- 「<阿部和重 ロング・インタビュー> アメリカ・天皇・日本」が公開されました
- 2019.09.24
- 代官山文学ナイト:阿部和重さんトーク&サイン会「阿部和重のなんでも質問箱」が開催されます
- 2019.09.24
- 様々な方から推薦のコメントが寄せられています
- 2019.09.24
- 特設サイトが公開されました
現実が終わり、伝説も終わる――
作家・阿部和重の東京の自宅に、ある夜、招かざる客が瀕死の状態で転がり込んできた。
その男・ラリーの正体は、CIAケースオフィサー。
目的は、地下爆発で国会議事堂が崩落したことにより首都機能が移転され、新都となった神町に古くから住まう菖蒲家の内偵。
新都・神町にはまもなく、アメリカ大統領オバマが来訪することになっていた。
迫りくる核テロの危機。
新都・神町に向かったCIAケースオフィサーと、幼い息子を連れた作家は、世界を破滅させる陰謀を阻止できるのか。
『シンセミア』『ピストルズ』からつづく神町トリロジー完結篇。
作家、3歳児、CIAケースオフィサーによる破格のロードノベル!
「神町」は山形県東根市にある阿部和重の出身地。
「トリロジー」は三つにそれぞれ分かれながらも、同じ一つの主題を持つ作品群。
三つの作品がひとつの世界と歴史を紡ぐ“神町トリロジー”。
第一部は、2003年に刊行された『シンセミア』。
第二部は、2010年に刊行された『ピストルズ』。
そして、第三部、『Orga(ni)sm』がついに刊行!
神町。どこにでもあるような片田舎の町は戦後日本の縮図でもあった。米軍の占領政策の一端を担ったパン屋とヤクザ、田宮家と麻生家は神町で絶大な勢力となり、息子の代になっても両家の固い結びつきは続いていた――あの事件が起きた炎熱の夏までは。
壮大な構想の下に始まる“神町トリロジー”第一部。
これは、傑作と呼ぶのが惜しいほどの途轍もない書物なのだ――蓮實重彦氏(「新潮」2003年12月号)
「神の町」に住まう哀しき一族をめぐる大サーガ!
魔術師一家だと噂される菖蒲(あやめ)家。そこは植物の香りに満たされ、心地よい音楽が演奏されるヒーリングサロンだった。次女・あおばの口から語られる菖蒲家の歴史は、神町の真実を暴いてゆく。若木山を信仰した祖父、菖蒲家の屋敷にユートピアを築こうとした父、そこに集まった四人の女性たち……。そして血の呪いに縛られた菖蒲家に、ついに家伝継承者となる運命の子が生まれる――。一子相伝の謎めいた秘術「アヤメメソッド」の正体とは?
幻想的な世界を展開し、谷崎潤一郎賞を受賞した“神町トリロジー”第二部。
今年はこの本を読めたからもうそれだけで良い、と思えました。――伊坂幸太郎氏(作家)
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阿部和重
作家。本作の主人公。
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ラリー・タイテルバウム
CIAケースオフィサー。かつて神町で菖蒲家の監視の任務についていた。
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エミリー・ウォーレン
CIAケースオフィサー。菖蒲家監視チームの現チーフ。「小枝」チョコレートが好き。
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菖蒲みずき
菖蒲家の四女。アヤメメソッド唯一の正規継承者。神町小学校に勤める。
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田宮光明
菖蒲家監視チームがマークする中学生。田宮彩香の息子。
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麻生未央
麻生興業の代表。CIAの協力者。「神町のアングラクイーン」。
- いまや阿部の手によって、物語は象徴性と固有性の重力圏から離脱しつつある。そこに拓かれるのは間違いなく「純文学」(文字通りの意味で)の新たな地平にほかならない。
――斎藤環氏(精神科医・批評家) - この作品において著者は、日米関係そのものを体現する壮大な偽史を書き上げたといえるだろう。
――大和田俊之氏(アメリカ文学者) - ラリー・タイテルバウムと阿部和重は本作の中で本作の中の世界を救ったが、次に、あなたの世界であなたの世界を救うのは、あなた自身なのだ。
――樋口恭介氏(作家) - 劉慈欣《三体》三部作は全世界で2900万部以上という驚異的なベストセラーに成長したが、《神町》三部作は文学的にもスケール的にも(ついでに分量的にも)じゅうぶんそのライバルとなりうる小説だ。
――大森望氏(翻訳家・書評家) - 本作は高度に複雑化し、現実より「作られた現実」の出来事が強い力を持つ社会を生きる現代人の感覚を強く意識する。
――「読売新聞」文芸時評(2019年5月28日)
1968年山形県生まれ。「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。『無情の世界』で野間文芸新人文学賞、『シンセミア』で伊藤整文学賞・毎日出版文化賞、『グランド・フィナーレ』で芥川賞、『ピストルズ』で谷崎潤一郎賞を受賞。その他の著書に『インディヴィジュアル・プロジェクション』『ニッポニアニッポン』『ミステリアスセッティング』『クエーサーと13番目の柱』『Deluxe Edition』『映画覚書vol.1』『キャプテンサンダーボルト』(伊坂幸太郎との共著)『ABC〈阿部和重初期作品集〉』など。