「みんなとつながることができない」引っ込み思案の私立中学三年生・給前志音(きゅうぜん・しおん)。これまで勉強やスポーツ、そして人間関係さえも唯一の友達・青山瑠璃に頼り切って生きてきた。しかし離れて暮らしていた父との再会がきっかけで、志音はあえて友達がひとりもいない県立高校への進学を決意する。県立高校入学後、学校の屋上でドラム(エアで)の練習をしていた志音は吹奏楽部の部長・日向寺大志(ひゅうがじ・たいし)から誘われ、「何かが変わるかもしれない」という予感とともに吹奏楽部に入部する。いっぽうの大志は、実は過去の部活運営での失敗を抱え、その傷を乗り越えられないままでいた。志音の出現は「何か」を変えるのか? やがて二人と部員たちは吹奏楽部の東日本大会出場をめざして厳しい練習の日々を過ごすように。そして地区大会の日がやってきて――。