──コラムニスト・デビュー十周年に刊行される『マンガホニャララ』は、「週刊文春」連載のマンガ評を中心にマンガについて書かれたコラムをまとめた本です。流行している作品を語るというスタンスではなくて、あまり知られていない作品について語ったり、逆に『美味(おい)しんぼ』『コボちゃん』などよく知られている作品について、独自の見方を語ったりされています。
ブルボン 今、マンガに関するたくさんの力作評論があって、スタンダードが確立されつつあると思うんです。「週刊文春」でも、いしかわじゅんさんが網羅的にマンガにアンテナを張って、豊かな教養で語ってくれてて。僕は後発の人間としての批評を意識しているところがある。どんなにすぐれた批評家にも、必ずとりこぼしがあるのではないかと思っていて……“落ち穂拾い”をしている感じですね。結局、自分の印象に残っているものしか語っていないんですよ。『キャプテン翼』における翼とあねごの関係だとか、うまくかこつけてただ言いたいだけ(笑)。
──マンガについて、「これまでのあらすじ」「あとがき」、タイトルロゴにまで言及していますし、「マンガは『本』だ」「マンガは絵と文字だ」など、個々の作品ではなく、マンガそのものについて語るフレーズもたくさん出てきます。
ブルボン 最初にそういうフレーズありきで書くわけではなくて、書いているうちに浮かぶんですけどね。今回単行本にまとめてみたら、いろいろと発見がありました。『美味しんぼ』の山岡さんの変遷と、「少年ジャンプ」の主人公の変遷と、別の回で別の方向で語っていたことが、結局「草食系男子」みたいな同じ世相を語ることになっていた、とか。
アニメがあることでマンガの固有性を意識した
──これまでマンガとどう関わってこられましたか。
ブルボン 僕は一九七二年生まれで、藤子不二雄世代なんですよ。家に自然にマンガがあった世代。『ドラえもん』ではマンガの中の子供もマンガを読んでいますよね。スネ夫がマンガを自慢する回があって (1)、なんか印象的で、そのキャラを模倣して僕も小一か小二の頃に「のるのる君」っていうマンガを描いてました。
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