- 2015.08.26
- 書評
「ヨソ者」「若者」「バカ者」が地方を救う! 眠れる資源を発掘し、磨き、稼ぐには?
文:増田 寛也 (日本創成会議座長、元総務大臣)
『地方創生ビジネスの教科書』 (増田寛也 監修・解説)
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
いま、かつてないほど地方発ビジネスへ熱い期待が寄せられている。昨年度「新書大賞」1位『地方消滅』の著者にして地方問題の第一人者が、ベスト・オブ・ベストとなる10事例をひきつつ「成功の極意」を伝授!
人口減少と高齢化のダブルパンチのなかで
2050年には、日本の人口は1億人を大きく割り込み9708万人となり、そのうち65歳以上の高齢者の割合は38・8%、じつに国民の5人に2人が高齢者になると推計されている。
人口減少と超高齢化のダブルパンチの影響を真っ先に受けるのは地方である。現在、地方から都市、特に首都圏に人口が移動して都市の肥大化が進行しているが、人口流出の止まらない地方は、全国平均のペースより速く激しく、衰退の道を歩むことになるだろう。
そして今、かつてないほど「地方発のビジネス」に世間の熱い視線が集まっている。それは、このまま何もせずに放置していると、文字どおり、自分たちのふるさとが“消滅”してしまうかもしれないという危機感が、世の中全体に共有されてきたからでもある。
地元経済が活性化しないことには、雇用を維持できない。仕事がなければ、とくに若い人ほど出て行ってしまう。高齢者ばかりが取り残され、社会保障の費用負担が増える一方なのに、住民が減って、税収維持もままならない。このままでは自治体すら維持できない――。
魅力的な仕事を求めて若者が地方に殺到する!?
2013年、『中央公論』誌上で、全国の市町村の約半分にあたる896の自治体に“消滅”の可能性があるという調査結果を公表し、翌年『地方消滅』(中公新書)という本にまとめたところ、予想をはるかに超える反響があった。とりわけよく聞かれたのは、「地方消滅の恐ろしさはわかった。では、消滅しないために、どうすればよいのか」という質問である。
本書は、そうした質問への一つの回答としてまとめたものである。「地方創生ビジネス」は、地方が生き残るための最大の解決策なのだ。
というのも、地元経済が活性化すれば、雇用も生まれ、Iターン(出身地とは関係なく地方に移住)や、Uターン(一度都会に出た若者が地元に帰る)で、若者を呼び寄せることができるからだ。
じつのところ、地方には、まだ手つかずの資源がたくさん残っている。それを眠ったままにしておくのは、あまりにももったいない。隠れた魅力を掘り起こし、商品として磨きをかけ、全国に広くアピールして、上がった収益をいかに地元に還元するか。
新たに発掘した商品は、長らく注目されていなかった分だけ伸びしろが大きく、運がよければ競合も少ないかもしれない。そういう魅力を一つひとつ掘り起こしていくのが、「地方創生ビジネス」の醍醐味でもある。
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