インタビュー・対談

人生は“きれいごと”では生きられない

『中島ハルコの恋愛相談室』 (林真理子 著)

聞き手: 「オール讀物」編集部
人生は“きれいごと”では生きられない

むちゃくちゃなおばさんが大活躍! 「オール讀物」人気連載が待望の書籍化

――本誌での人気連載が、『中島ハルコの恋愛相談室』としていよいよ単行本化されます。IT企業の社長にして、やることなすことむちゃくちゃなおばさん“中島ハルコ”が、さまざまな人の悩みを痛快に解決していきます。ハルコのキャラクターはどのようにして生まれたのでしょう?

 実はハルコにはモデルがいて、もう20年以上の付き合いになる友人です。小説の中で、新幹線ホームのキヨスクで週刊誌を立ち読みしたり、大地震が起きたとき、無理矢理運送会社のトラックに自宅まで送らせたエピソードを書きましたが、全部実話なんです。

――えっ、そうだったんですか!

 キヨスクで立ち読みしている人なんて見たことないでしょう? あのときはさすがの私も見かねて、週刊誌を買うように勧めたんですが、「私がこんな下品な週刊誌を買うなんて、そんな恥ずかしいことができるわけないじゃない!」って(笑)。この他にもいくつかエピソードを披露したら、なぜかみんながすごく面白がってくれました。いまの時代は、他人を傷つけることを過剰に恐れたり、世間に波風を立てないように気を遣っている人が多いからじゃないかなと。その中で彼女のように、自由に振る舞うことはなかなかできません。そんな友人に畏怖の念すら覚えて、小説に書きたいと思ったんです。

――ハルコは非常識極まりない人ですが、彼女の言動、行動には不思議な爽快感があります。林さん自身も、ハルコに共感しながら書いていたのではないでしょうか。

 モデルとなった友人からは印象的なエピソードを拝借していますが、ハルコの言動は私の考えが色濃く反映されています。ハルコの姿を借りて、小説の中で私が言いたい放題をしているようなものです(笑)。

 言いたいことをはっきり言う、というのは私が30年物書きをやってきて肝に銘じていることでもあります。去年百田尚樹さんが『殉愛』を出版されたときもそうでした。私はこの本をすごく面白く読んだのですが、やしきたかじんさんの妻をめぐる情報が錯綜していた。私は、何が本当のことかを知りたかった。この手の話題は週刊誌の独壇場だろうと記事が出るのを心待ちにしていました。ところが、どの週刊誌もだんまりを決め込んでいるのを見てがっかり。2週間くらいもやもやしていましたが、我慢できなくなって、週刊文春のエッセイに私の疑問を書きました。

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中島ハルコの恋愛相談室
林真理子・著

定価:本体1,300円+税 発売日:2015年05月28日

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オール讀物 2015年6月号

定価:980円(税込) 発売日:2015年05月22日

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