昨年から、「発酵食」が大ブームです。免疫力をあげたり、解毒作用があったりと健康面からの効果がその理由のようですが、私が発酵食を愛するのは、それにもまして、“美味しいから”。人間の手だけでは絶対に作りえない旨味にひかれるのです。
私は「暮らし家」として、料理や縫い物を中心に毎日の暮らしの提案をしています。
日々、自分が大好きなワインに合うお料理を考える中で、自然と発酵食を使うレシピが増えていきました。アンチョビやチーズがワインと合うのは常識かもしれませんが「シャンパーニュとぬか漬けが合う」と知った時の衝撃は今も忘れません。国境を越えて旨味はマリアージュするんだと……。
そういう意外性が発酵食の面白さでもあります。ですから、我が家の食卓に並ぶ発酵料理は結構な“カオス”です。
今回の本に載せたレシピも、塩麹や味噌、ぬか漬けなど日本の伝統的な発酵食を、洋風や無国籍風にアレンジしたものが数多くあります。今まで、発酵食には興味のなかったような普通の若い女性にも手にとってもらえる本に仕上がったと思っています。
たとえば、最近はやりの「塩麹」。塩と麹と水を混ぜ合わせるだけで奥深い味が出るという手軽さから大ブームになり、塩麹の料理本もすでにたくさん出ていますが、どれも和食のイメージが強いのではないでしょうか?しかし、実はにんにくやハーブとあわせて使うことで、イタリアンやスペイン料理風にアレンジすることもできるのです。塩麹は和にも洋にもエスニックにも、本当に万能ですので、使い始めると手放せなくなることは間違いありません。
とはいえ、塩麹歴は私もまだ浅く、私が最初に作り始めた発酵食は味噌でした。もう7、8年前のことです。
子供の頃、宇都宮の実家近所のおばさんが手作りしていた味噌がとてもおいしかった記憶があり、昔はどこの家でも手作りしていたであろう味噌を、現代人だからという理由だけで作らないのはもったいないと思ったことがきっかけです。
本やネットで作り方を調べ、最初は手探りで始めてみました。大豆を煮て、麹と塩をまぜて保存容器に詰めるだけ。大豆の色がだんだんと味噌の色に変わっていくのを見るのは楽しいものです。夏を越して、ちょっとなめて味噌の味になっていればもうできあがり。意外に簡単だなあとちょっとびっくりしました。
それから毎年、味噌を仕込み、いろいろな方法を試すうち、自分なりの方法ができあがってきました。
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。