――来年にはデビュー20周年を迎える阿部さんですが、意外にも短編集は今回の『Deluxe Edition』が2冊目です。
阿部 ええ、単行本としては『無情の世界』(1999年)以来ですからずいぶん久しぶりですね。『無情の世界』は妄想とメディアをテーマにした3編をまとめた本ですが、今回は12編なのでさらに短編集の意味合いが強く、それぞれの作品も最初からコンセプチュアルにまとめることを意図して書きました。自作の中では、『シンセミア』や『ピストルズ』といった長編に近い感覚と熱意で1冊に仕上げたつもりです。
「9.11」が転機に
――そのコンセプトとは具体的には?
阿部 1つは、目次を見てわかるように、「Man in the Mirror」(マイケル・ジャクソン)、「Just Like a Woman」(ボブ・ディラン)、「Life on Mars?」(デヴィッド・ボウイ)、といったポップ・ミュージックから題名を借りているところです。
『Deluxe Edition』という総タイトルも、有名なアルバムを再発売する際に、ボーナストラックをつけて豪華版を出す際によく使われる言葉ですね。楽曲集みたいに見える小説集というニュアンスを強調することもできて、ゴージャスな感じでいいなと思い、選びました。曲名自体も、作品を部分的に解説してくれるものを選んでいます。それは僕の小説にはおなじみの仕掛けですが、たとえば映画のサントラみたいに、聴きながら読んでもらっても楽しいかなと思います。
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