- 2015.01.08
- 書評
「うちは大丈夫」と言う家族が一番危ない!
相続で苦労しがちなポイントを短歌で学ぶ
文:森 欣史 (金沢みらい共同事務所 司法書士・行政書士)
『相続対策を短歌で学ぶ! 相続百人一首』 (森欣史 著)
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#趣味・実用
遺産相続に関するトラブルというと、どうしても「相続争い」をイメージしてしまいますし、「相続対策」というと「相続税対策」を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、世の中の遺産相続に関するトラブルで最も多いのは、相続争いが起きているわけでも、相続税がかかるほどの遺産があるわけでもないが、亡くなった人の預貯金の解約手続や不動産の名義変更手続(相続登記)の際に必要な戸籍集めや書類の作成がなかなかできず、相続人が苦労するというケースです。また、相続人の数がすごく多いとか、相続人の中に認知症の人がいるなどの事情によって、手続そのものを進めることができずに困ってしまうようなケースも増えています。
そして、遺産の名義変更に関する業務の多くを担っているのは、私たち司法書士や行政書士です。ところが、遺産相続に関する新聞や雑誌の記事、あるいは書籍の多くは弁護士さんや税理士さんが書いているように見受けられます。そこで、ならば自分がと一念発起して、相続に関する書籍を出そうと考えました。
この分野の書籍は類書も多いので、その中で、特徴のあるものを執筆したいと考えました。また、私たち司法書士や行政書士が関与するのは、おもに「庶民の相続手続」です。そのため、まずは類書と比べて圧倒的にわかりやすいものにすることを目標にしました。ただ、これは「言うは易く行うは難し」で、遺産相続や遺言をテーマにした記事を執筆しようとすると、どうしても、難解な民法や判例、複雑な税制のことを説明しなければならないし、最低限の専門用語も使わざるを得ません。
そこで、説明を易しくする一方で、要点をシンプルに伝えるにはどうしたらいいのかを考えた結果、相続問題を短歌にまとめたらどうかというアイデアを思いつきました(ちなみに川柳にすることも考えましたが、五七五の17文字では文字数不足でした)。しかし、タイトル的に「相続川柳」ならともかく、「相続短歌」ではピンと来ません。また、短歌で川柳に相当するものを「狂歌」といいますが、「狂」という文字はあまり使いたくありませんでした。ならば、「相続百人一首」ではどうかと考えました。
こうして「相続百人一首」は誕生しました。
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