- 2014.10.26
- 書評
自らの舌で食べこんだラインアップが証明する真のグルメ
文:柏原 光太郎 (『東京いい店うまい店』担当編集者)
『芸能界のアテンド王が教える 最強の店77軒』 (渡部建 著)
ジャンル :
#趣味・実用
この本を読み終えた時に、「渡部さんのセンスっていいな」と思わずゴチてしまったのは、「一人メシのとっておき店」のジャンルに出てくる店のラインアップを見たときのことでした。男女や大勢で訪れる店を選ぶ場合は、美味い、まずい以外にも、雰囲気やテーブルのセッティング、個室のあるなしなど、店を選ぶ要因はさまざまありますが、一人メシは単純に本人の味や店の好みが反映されます。
私は長年、食業界関係者と付き合い、特にこの数年は『東京いい店うまい店』(最新版は11月28日発売です)の編集に関わってきたので、「グルメ」と言われている方から好きな店を聞けば、本当に食べこんでいるのか、ネットや周囲の情報に振り回されているだけなのか、だいたい傾向がわかります(笑)が、偉そうに断言させていただくと渡部さんは、自らの舌で食べこんだ、かなりの変態です!
たとえば練馬の焼鳥「鳥長」。西武池袋線の練馬駅から10分くらい歩いたところにあり、私も初めて連れて行かれたときは、そのロケーションの平凡さと味の非凡さのギャップに驚いた店ですが、そんな遠いところまで、忙しい渡部さんが出かけていることに敬服しました。
同じく焼鳥の「里葉亭」。ここも横浜ですから渡部さんの生活圏内ではないでしょう。しかも、よくある「ここでしか食べられない、とっておきの料理」を一度だけ体験しにいったのではなく、王道の焼鳥の腕前を評価しているところに、渡部さんの「食道」への取り組み方がよくわかります。この文章を読んでみてください。行間から「この店は旨いぞ」というオーラがあらわれているではないですか。
〈メインの焼鳥は、別に変わったものがあるわけではありません。(中略)しかし、食べると「なんじゃこりゃ!」と叫びたくなるほど旨い〉
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