- 2015.12.20
- インタビュー・対談
“クールジャパン”として世界に受け入れられたニッポンのAV。モザイクの向こうに日本の“今”が見えてくる!
「本の話」編集部
『ニッポンAV最尖端 欲望が生むクールジャパン』 (藤木TDC 著)
ジャンル :
#ノンフィクション
本書は、日本のAVを長年取材してきた藤木氏が“匠”たちに徹底取材した異色ルポだ。
藤木 ある日気づいたら、日本のAVは世界のものになっていたんですね。本に登場する80代のAV男優、徳田重男さんはCNNに「世界最高齢のポルノスター」として取材を受けて、日本よりも世界で有名になっている。独身時代にAV好きを公言していた日本人大リーガーが、アメリカの観客から“BUKKAKE!”という野次を飛ばされたり、中国の抗日デモのときに、「魚釣島は中国のもの、蒼井そらは世界のもの」と中国の若者がツイートしたり。庶民レベルで浸透しているんです。「モノつくり」を大切にする日本人の勤勉さは、AV製作にも共通していて、海外の人もそれを感じて、「単なるポルノじゃない、クールジャパンだ」と思っているみたいなんですね。
――目次には「BUKKAKE」「海外ナンパ」「格闘技とポルノの融合」「自動歩行バイブロボット」などなど、すごくディープな単語が並んでいますね。
藤木 モザイクという制約によってセックスそのものが描けない日本のAVは、90年代以降、非セックスの性的表現を追求することになり、それがジャンルの細分化につながりました。そしてやってみたら、セックスよりも面白いことに気づいてしまった(笑)。
その背景には平成という時代が反映されています。たとえばロシアや東欧を舞台にした「海外ナンパもの」はソ連の崩壊と深く関係していますし、徳田氏演じる介護される舅が、嫁と関係してしまう「禁断介護」シリーズは、高齢化社会における妄想の一つのカタチと言えるでしょう。絡みのシーンが全くないのに記録的ヒットとなった、「女柔道家VSレイプ魔」はK-1やPRIDEの全盛期に作られたものです。他にも、女子高生ブームのときに、“微乳”女優の作品が静かな人気になったり、特撮ヒーローものをモチーフにしたAVが人気だったり、AVは、他のサブカルチャーと地下茎でつながっています。この時代に人々が持った、「隠された情念」がAVという形で露わになっている。
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