2012.03.09 書評

水道橋博士の電子書籍「藝人春秋」は、名言の玉手箱!

文: 「本の話」編集部

『藝人春秋』 (水道橋博士 著)

心に残る人々を小説のように

「この電子書籍『藝人春秋』では、実際に出会った心に残る人々を『藝人』として、小説のように描写しようと思いました」

 水道橋博士はこう語る。

 人気漫才師・浅草キッドのツッコミ担当として、テレビ、舞台で活躍する一方で、多くの雑誌連載を抱えるなど、独特の人物批評に基づく文章の才能にも定評がある。

 去年6月に初の電子書籍となる『藝人春秋』を刊行。約2か月に1回の割合で刊行され、この2月末に出た第6回で「完結」した。全6回のラインナップで、登場する「藝人」の面々は以下の通り。

第1回 そのまんま東(東国原英夫) 石倉三郎 草野仁
第2回 甲本ヒロト 三又又三
第3回 堀江貴文 湯浅卓 苫米地英人
第4回 テリー伊藤 稲川淳二 ポール牧
第5回 吉田豪 桑野信義 宮崎哲弥 掟ポルシェ 大槻ケンヂ
第6回 古舘伊知郎 太田光 松本人志 北野武

テレビでは決して伝わらない世界を伝える

 本作の中には、博士が触れた「藝人」たちの滋味溢れる言葉が数多く出てくる。

オマエらは、(中山)秀ちゃんとか、バカにしてんだろうけど、あれはいい芸人やで~。ああいう連投が利く、肩作ってないと、テレビという一軍では投げられんで~」(そのまんま東)

芸能界は親が死んでもトチれない世界なんだよ。だから辛抱だ、辛抱ってのは、辛さを抱きしめるってことだからな。今はひとりで抱きしめろよ、我慢とは違うんだよ、わかるかい?」(石倉三郎)

いいかい、このことをお笑いにしたら承知しませんよ。これは、お笑いじゃなく真面目にやっているんだから、わかったか!」(ポール牧)

やっぱり、俺は石原さんは苦手ですねぇ」(太田光)

 これらは、テレビでは決して伝わらない、芸人がほかの芸人を冷静に見つめる目、自らの仕事に対するプライドの高さなどが伝わってくる言葉だ。

 さらに、普段のメディアではなかなかわからない有名人の「意外な一面」も。

もう一度、人生があるなら、お相撲さんに成ってみたいと夢見ることがありますねぇ~」(草野仁)

談志=ロッケンロールだと思うんだ。なんか見ていると“ナッシング・トゥ・ルーズ”を感じさせるんよぉ」(甲本ヒロト)

楽しいことはラクじゃないんだよ。同じ字だけど、よく勘違いしている人がいるんだぁ」(同)

俺はさぁ。今、北朝鮮が面白いと思うんだよね~」(テリー伊藤)

 水道橋博士の「聞く力」は、相手のガードを緩めて、大言壮語と思われるようなスケールの大きい話を引き出してみせる。驚くべきことに、以下の言葉は、いずれも「真実」なのである。

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藝人春秋

水道橋博士・著

定価:1575円(税込) 発売日:2012年12月06日

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