- 2015.06.04
- 書評
最新の科学研究から導き出された
希望を達成するためのテクニック
文:森嶋 マリ
『5年後の自分を計画しよう 達成する希望術』 (シェーン・J・ロペス 著/森嶋マリ 訳)
ジャンル :
#趣味・実用
“人は未来の記憶を作れる”、“人はそもそも楽観的である”――『5年後の自分を計画しよう』の著者シェーン・ロペスはそう主張する。
“未来の記憶を作れる”とは、たとえば、再来週の週末にカヌーに乗って遊ぼうと決めたら、カヌーを漕いで楽しんでいる自分の姿をありありと思い描けるということだ。ときに、そのイメージは過去の記憶と同じぐらい鮮明に脳裏に刻みつけられる。著者は幼い息子と話をすると、それを強く実感するという。
“人は楽観的である”とは、世界各国の人々に質問した結果をもとにしている。「今の自分と未来の自分では、どちらがより良いだろうか?」という質問に、90%の人が“未来のほうがより良い”と回答したのだ。
そう、この本には著者ロペスの長年にわたる研究と調査、研究者として読みこんだ膨大な資料によって裏づけられた見解が無数に盛り込まれている。希望の心理学の世界的権威であるロペスは、さまざまな研究結果をもとに米国の教育システムを改良し、子供たちが将来、より良い仕事を得て、幸福な家庭を築けるような教育プログラムを考案した。また、全米一の世論調査会社ギャラップ社の主席研究員として、ギャラップ学生世論調査も発案した。
そんな著者だが、かつてはIQの研究に没頭していたこともある。当時は高いIQこそが、人をすばらしい人生に導くと考えていたのだ。だが、心理カウンセラーとして患者と接するうちに、その考え方に疑問を抱くようになった。絶望して、生きる気力を失った患者が、希望を抱くことで、生気を取り戻し、近しい人との関係も、仕事も、健康も改善したという現実を目の当たりにしたからだ。どれほどIQが高くても、希望なしでは有意義な人生は歩めないと気づいたのだった。
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