2014.11.17 書評

卒業アルバム時点で離婚率がわかる!?
未来を見抜く、外見の「手がかり」

文: 森嶋 マリ (翻訳家)

『卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学』 (マシュー・ハーテンステイン 著/森嶋マリ 訳)

 本書の原題は『The Tell』だ。tell(テル)とはポーカー用語で、自身の持ち手を対戦相手に知らせてしまう表情やしぐさなどを指す。たとえば、対戦相手のほうが強い手を持っているときにかならずまばたきするとか、ブラフをかける(弱い手でありながら、はったりをかける)ときにはチップをいじるといった癖がそれだ。ポーカープレイヤーはそういった癖を瞬時に見て取り、相手の手を予測するのだそうだ。さらに上級プレイヤーになると、偽のテルを駆使して、対戦相手を惑わすこともあるらしい。

 ポーカー・プレイヤーに限らず、人は誰でも目の前にいる相手の言葉以外の手がかり(表情、しぐさ、声音など)から、性格や将来までも見抜けるにちがいない――こうした可能性を追究する「人相学」は、かつては非科学的と片づけられていた。だが、現代の科学者はさまざまな技術を用いて、人の外見と内面の関係を深く探究するようになった。いわば「新しい人相学」とも呼べそうな研究が、正当性を認められているわけだ。本書は、著者自身の研究や一流の科学ジャーナルに発表された論文をもとに、外見と内面を結びつける“手がかり”を紹介している。

 著者のマシュー・ハーテンステインはカリフォルニア大学バークリー校出身で、現在はデポー大学心理学部の准教授だ。“言葉以外の手がかりによる将来の予測”が研究の柱のひとつで、日本版タイトルの『卒アル写真で将来はわかる』は、著者自身がおこなった驚くべき実験に由来している。

 著者は、若い頃の写真から将来を予測できるかどうかを調べるため、卒業アルバムを使うことにした。まず二〇代から八〇代まで六五〇人以上の大学時代の卒アル写真を集め、口角の上がり具合などから、笑顔の度合いを点数化した。そして、彼らの結婚生活がどうなっているかを尋ねたのだ。

 すると、結婚生活を順調に続けている人たちの笑顔の点数は、離婚した人たちよりも統計的に有意に高かった。それはつまり、満面の笑みを浮かべているか、あまり笑っていないかで、離婚を予測できるということだ。著者が二〇〇九年にサイエンス・ジャーナルに発表したこの研究は大いに話題を呼び、一般向けに書き下ろされた本書へとつながっていった。

【次ページ】幅広顔、ウエストとヒップの比率……驚きの「手がかり」

卒アル写真で将来はわかる 予知の心理学
マシュー・ハーテンステイン・著 森嶋マリ・訳

定価:本体1,500円+税 発売日:2014年10月25日

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