山崎 春原さんと初めてお会いしたのは昨秋でしたね。
春原 私は浪費をしているつもりがないのに少しもお金が貯まらず、山崎さんの『年収100万円の豊かな節約生活術』(文藝春秋刊)を読み、押しかけて弟子入りさせていただきました。今だから白状しますが、お会いするまでは結構ビクビクしていたんですよ。うすら寒くて暗い部屋ですべてを極限まで切り詰めなければ、月3万円で生活できるわけがないと思っていましたから。
山崎 実際に、僕の暮らしぶりは悲惨でしたか?
春原 いえいえ、悲惨どころか快適で楽しそうで、そのうえ美味しいご馳走までしていただいて。それまで節約に対して抱いていた「暗くて辛い」というイメージが吹き飛びました。でも、私は結婚して仕事もしていますから、山崎さんと同じようには節約できないと感じたことも事実です。
山崎 失礼ながら、「かなり大雑把な金銭感覚をお持ちだな」というのが春原さんにお会いしての第一印象でした(笑)。ところが、コミックエッセイ『やってみました! 「年収100万円の豊かな節約生活術」』を読んで感心したのは、春原さんは最初から僕のマネをせず、オリジナルな節約方法を工夫した点です。
春原 これまで自分がどのようにお金を使っているかほとんど把握していませんでした。貯金が少しも増えていないことには気づいていても、そんな現実から目を背けていたのです。
山崎 春原さんは、まず入ってくるお金と出ていくお金を確認することからはじめましたね。
春原 ええ。私たち夫婦は収入の中から一定額を共通の口座に入れて生活費にあてています。まずは固定費(住居費・光熱費・通信費など)を洗いなおし、月1万円の減額に成功しました。でも、節約の本丸といえば、やはり食費・遊興費などの変動費ですよね。山崎さんにいきなりスーパーのハシゴに連れ出されて、おかげで目からウロコが落ちたような思いがしました。私はものの値段なんてどこでも似たようなものだと思っていましたが、実際にチェックしてみると、マーガリンや洗剤の値段が店によって100円以上違うのには心底びっくりしました。