2010年に出版された単行本『いざ志願! おひとりさま自衛隊』が文庫になりました。単行本が出たときから、ひとつの夢がありました。「製本工場に行きたい! 自分の本が作られてるとこを見てみたい!」。これまでその機会がなかったのですが、この度の文庫化で、その夢が実現しました。
お邪魔したのは江戸川橋駅近くの加藤製本株式会社さん。こちらでは、印刷の終わった紙を、本の形に製本する作業が行われています。街には印刷所や製本所がそこここにあり、あっちからガッチャンコ、こっちからシャーシャーと、本の産声があふれていました。
お出迎えしてくださったのは、加藤製本株式会社の取締役営業部長、藪秀通さん。「見学に来られる作家さんはなかなか……物好きな方だけですね」とのことで、はい、物好きです。世の中のこと、なんでも好きです。ちなみに、これまでに来られた方のお名前を聞くと、「村上春樹さんとか」とビッグネームが。おお、あやかりてぇ。
藪さんのご案内で早速工場へ。まずは「丁合」という工程です。32ページ、16枚ずつに束ねた紙数10部を、従業員のおねえさんが機械にセット。それを機械が高速で1部ずつ順番に乗せていきます。機械には正しい束が乗せられているかをチェックするモニターがあり、もし異常があれば自動停止。これで乱丁や落丁を防ぐんだとか。
そういや文庫化にあたって単行本から随分と加筆をしたのですが、単行本出版後に初の予備自衛官実働招集のあった東日本大震災が発生したこともあり、あれもこれもとてんこもり書き連ねたら、編集さんに「多すぎます!」と軽く怒られたのを、32ページずつの束が機械にシャカシャカと吸い込まれてくのを見ながら思い出しました。ちゃんとこうやって製本されるプロセスがあるから、32ページずつって決まってるんですね。そら中途半端にたくさん書いちゃダメですよね。「32ページ単位で合わなかったら白紙のページがあってもいいじゃん。ノートにでも使ってよ」は北杜夫さんしか許されないですよね。まあ“クプクプ”は「余ったから白紙」なわけではないんですが。そう考えると、“クプクプ”の乱丁・落丁チェックは難しかったろうなぁ。白紙じゃすみっこのページ番号でしかチェックできないし。
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